米アップル 時価総額が初の2兆ドル超え

米アップル 時価総額が初の2兆ドル超え
アメリカのIT大手、アップルの時価総額が、19日、初めて2兆ドルを超えました。アメリカの株価は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けにくいとしてIT関連銘柄が値上がりを続け、急速に回復を続けていますが、その象徴的な出来事ともいえそうです。
19日のニューヨーク株式市場で、アップルの株価は上昇し、株価に発行済みの株式数をかけた時価総額が一時、2兆ドル、日本円にして210兆円を超えました。

これは、日本最大のトヨタ自動車のおよそ9倍です。

また、2兆ドルを突破するのは去年株式を公開したサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコが一時、記録して以来のことで、アメリカの企業としては初めてです。

アップルは、主力のスマートフォン「iPhone」の販売に加え、音楽や動画配信などのサービス部門も強化していて、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも業績を伸ばしています。

新型ウイルスの感染拡大で、アップルの株価も3月末にかけて急落しましたが、そこから2倍以上、去年末と比べても60%近く値上がりしています。

急速に回復を続けるニューヨークの株価は、IT関連銘柄がけん引役となっていますが、今回のアップルの時価総額2兆ドル超えは、これを象徴した出来事ともいえそうです。

背景に「自社株買い」も

アップルの株価上昇の要因のひとつと指摘されるのが、みずからの株式を市場から買い戻す「自社株買い」です。

「自社株買い」は、一般的に、市場に出回る株式の数が減るため株価が上がりやすくなるとされています。

アップルは2011年に創業者のスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったあと、ティム・クックCEOのもとで2013年から自社株買いを進めてきました。

好調な業績が手元資金を増やし、自社株買いを可能にしますが、アップルが2013年から去年までに自社株買いに使った資金は、日本円で30兆円を超えます。

自社株買いは株主の利益につながるとされる一方、その資金を新たな投資や研究開発に投じれば事業のさらなる成長が期待できるという指摘もあります。

巨大IT企業「1兆ドルクラブ」

アメリカの株式市場では、時価総額が1兆ドルを超える企業は「1兆ドルクラブ」などとも呼ばれ、そのすべてが、巨大IT企業です。

「1兆ドル」を初めて達成したのはおととしのアップルで、その後、アマゾン、マイクロソフト、それにグーグルを傘下に置くアルファベットが次々と大台を超えて「1兆ドルクラブ」に仲間入りしました。

この日の終値で見ると、時価総額は、アマゾンが1兆6331億ドルマイクロソフトが1兆5869億ドルアルファベットが1兆500億ドル余りで、資金が集中していることがわかります。

これら4社は、新型コロナウイルスの影響で多くの企業の業績が悪化するなかでも、在宅勤務や、オンライン授業といった、自宅で利用できるサービスへの需要の高まりを背景に業績を伸ばしています。

一方、大手IT企業が独占的な地位を利用して適正な競争を妨げ、巨額の収益を上げているという批判もあり、アメリカでは各社に新たな規制が必要か、議論が続いています。