WHOの専門家「コロナ感染拡大地域では歯の定期健診 先送りを」

WHOの専門家「コロナ感染拡大地域では歯の定期健診 先送りを」
WHO=世界保健機関の専門家は11日、「新型コロナウイルスの感染が拡大している地域では、歯の健康維持のための定期健診などは先送りするよう推奨している」と述べ、感染が続く地域では、緊急性のない歯科の受診は、控えることが望ましいとする考えを示しました。一方、日本歯科医師会では「国内の歯科医院では、感染予防策を強化してきている。健診であってもひとりひとり状況は異なり、受診が望ましいケースもあるため、かかりつけの歯科医と相談してもらいたい」と話しています。
WHOは、新型コロナウイルスの感染が広がる中での歯科診療に関する手引きを今月3日、公表しました。

これについて、WHOの歯科医官のバレンヌ氏は11日、会見で、歯科医院で感染が広がったというデータは今のところないものの、「歯科診療は多くの場面で、『エアロゾル』と呼ばれる空気中を漂う微粒子が出る。歯科医師などを感染から守る措置が不可欠だ」と述べました。

そして、WHOの手引きに基づいて「新型コロナウイルスの感染が拡大している地域では、歯の健康維持のための定期健診などは、先送りするよう推奨している」と述べました。

この理由について手引きでは、歯科医師などは長時間にわたって、患者のすぐそばで治療にあたることから、唾液や血液などにさらされ、感染のリスクが高いことをあげています。

一方で、激しい痛みがあるなど緊急の場合は、治療を先送りすべきではないとしています。

こうしたWHOの方針について、日本歯科医師会では「国内の歯科医院では、感染予防策を強化してきている。健診であっても一人一人の状況は異なり、受診が望ましいケースもあるため、かかりつけの歯科医と相談してもらいたい」と話しています。

日本歯科医師会「かかりつけ医と相談を」

WHO=世界保健機関が、新型コロナウイルスの感染が十分に収まっていない地域では、健診など、緊急性の低い歯科医院の受診は先送りにすべきだとしていることについて、日本歯科医師会では「国内の歯科医院では、感染予防策を強化してきている。健診であっても、一人一人状況は異なり、受診が望ましいケースもあるため、かかりつけの歯科医と相談してもらいたい」と話しています。

日本歯科医師会は、歯科の医院に対して感染予防策を周知していて、これまでに歯科の健診や治療を通して感染したケースは確認されていないということです。

具体的な感染予防策として、マスクや手袋の着用など標準的な予防策を順守したうえで、診療にあたる際には、患者の口から放出される、ごく小さな飛沫が広がるのを防ぐために、飛沫を吸い込む装置を的確に操作することが求められるほか、ゴーグルやフェイスシールドを装着することが必要だなどとしています。

また、待合室に患者が密集するのを避けるとともに、定期的に窓を開けて換気を徹底するよう呼びかけています。

日本歯科医師会の小山茂幸常務理事は「歯周病や虫歯の治療も早期発見・早期治療が重要で、必要な治療を先延ばしにすると、全身状態の悪化につながることもある。国内では、感染予防対策を強化してきており、自分で判断せずに、かかりつけの歯科医と相談してほしい」と話しています。