コロナ禍でも最期まで本人の望む高齢者医療を 学会が提言

コロナ禍でも最期まで本人の望む高齢者医療を 学会が提言
新型コロナウイルスに感染すると高齢者は重症化しやすいとされ、急激に状態が悪化し、治療についての本人の意思を確認できないまま亡くなったケースも報告されています。日本老年医学会は、感染拡大が続く中でも高齢者が人生の最終段階まで望む医療を受けられるようにするための提言を発表しました。
高齢者医療の専門家でつくる日本老年医学会は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、人生の最終段階まで最善の医療を受けるために推進すべきことを提言としてまとめました。

それによりますと、最善の医療やケアを受ける権利を保障するため、たとえ必要な医療が提供できない「医療崩壊」のような状況になっても、年齢だけを基準に患者を選別するトリアージを行うことは避けるべきだとしています。

また、感染する前から、人生の最終段階で望む医療やケアについて本人や家族、医療や介護従事者で話し合っておく「アドバンス・ケア・プランニング」を実践すべきだとしています。

さらに、人工呼吸器をつける場合は、医学的判断に加えて本人の意思を尊重して判断し、回復が望めないことが明らかな場合は、人工呼吸器を外すことも選択肢として本人や家族に伝える必要があるとしています。

日本老年医学会の秋下雅弘理事長は「病気になる前の段階から人生の最終段階をどう迎え、どう生きるか考えるきっかけにしてほしい」と話しています。