「火球」の隕石を発見「すごい音がして怖かった」隕石の起源は

「火球」の隕石を発見「すごい音がして怖かった」隕石の起源は
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先月、広い範囲で目撃された「火球」が燃え尽きずに、隕石(いんせき)として落ちているのを発見した千葉県の女性が取材に応じ、当時の状況について「すごい大きな音がして怖かった」と振り返りました。
先月2日午前2時半すぎ、流れ星の中でも特に明るく光る「火球」が関東など広い範囲の上空で目撃され、その後、この「火球」が燃え尽きずに地表に落下したとみられる隕石が千葉県習志野市のマンションで発見されました。

発見した女性は取材に応じ、当時はマンション2階の自宅で寝ていたということで、「急に『バーン』という金属にものが当たったような大きな音を聞き、驚いて目が覚めました。誰かが家に石を投げつけたのかと思い怖かったので外には出ませんでした」と語りました。

朝になって、共用の廊下に大きさが4センチほどの石が落ちているのを見つけ、廊下の手すりにはくぼみもありましたが、その時は隕石だとは思わず、そのままにしていたということです。

しかし、翌日のニュースで隕石が千葉県内に落下した可能性があると知り、急いで拾って保管し、近くの博物館に連絡したということです。

女性は1階の中庭でも、大きさが5センチほどの隕石の破片を見つけたほか、その後、専門家も調べ、別の階からさらに15個ほどの細かい隕石の破片が見つかったということです。

女性は、「気が付いてよかったなと思っています。手元にある隕石は、博物館などで展示してもらいたいです」と話しています。

見つかった隕石の特徴

千葉県習志野市で見つかった隕石は国立科学博物館に持ち込まれ、分析されています。

隕石は主に2つに割れていて、1つは直径がおよそ4.5センチ、重さは63グラムで、表面が黒く溶けたような跡があり、中の岩石の部分は白っぽく見えています。

もう1つは、直径がおよそ5センチ、重さは70グラムほどで、さびたような茶色い部分もあります。

地球にある岩石では金属はあまり含まれていませんが、隕石では鉄などの金属が多く含まれているのが特徴で、見つかった隕石の茶色い部分は雨などにさらされてさびたものとみられています。隕石の中では最も多くある「普通コンドライト」と呼ばれる種類とみられるということです。

国立科学博物館では詳しい分析をしたうえで、今後、「習志野隕石」と命名して国際隕石学会に登録を申請したいとしています。

隕石の分析を担当する米田成一グループ長は「かなり大きな火球だったのでさらに大きなかけらがまだ見つかっていないと考えられる。もし隕石らしきものを見つけたら学校の理科の先生など身近な人に見てもらい、普通の石ではないとなったら博物館などに連絡してほしい」と話しています。

国内で53番目の隕石

国立科学博物館によりますと、今回の隕石は国内で確認されたものとしては53番目になるということです。

これまで国内で確認された隕石として、福岡県直方市に西暦861年に落下したとされる「直方隕石」など古いものや、2018年に愛知県小牧市で見つかった「小牧隕石」など53例があります。

また、世界では、国際学会で確認された隕石は6万個以上あり、発見のしやすい南極や砂漠で見つかったものが多いということです。

隕石は、専門家の間では研究のために無償でやり取りされていますが、愛好家やコレクターの間では売買されるケースもあります。

今回、発見された隕石は発見される隕石のおよそ8割を占める「普通コンドライト」と呼ばれる種類とみられ、1グラム当たり数千円で売られているということです。そして、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が探査した小惑星「リュウグウ」の岩石に近いとされる「炭素質コンドライト」は発見事例が少なく1グラム当たり数万円、さらに貴重な「月隕石」は1グラム当たり数十万円、「火星隕石」になると1グラム当たり100万円ほどで売買されることもあるということです。

一方で、小惑星やそのかけらが地球の大気圏に落下することは比較的、小さいものだと頻繁にあるとされています。今回の隕石は、大気圏に突入する時点での大きさは1メートルに達しない程度だとみられていて、地球に落下する数は大きさが1メートル程度のものだと年に100個ほど、直径4メートル程度だと1年に1個程度だということです。

しかし、さらに大きくなると少なくなり、直径20メートル程度だと50年から100年に1度、およそ6600万年前、恐竜絶滅を招いたとされる直径10キロ程度のものは1億年に1度とされています。

2013年にロシア中部のチェリャビンスク州に落下した隕石の事例では、直径17メートル、重さ1万トンの小惑星が大気圏に突入したと推定されていて、数十年に1度の大きさだったと考えられています。

隕石の起源 国内で初めて推定

今回の隕石は、ある特定の3つの小惑星のいずれかからきた可能性があることがわかり、隕石の起源が推定された国内では初めてのケースとして注目されています。

その3つの小惑星は、「2020LT1」、「2008WH96」、「2019NP1」の3つです。いずれも大きさが直径100メートル以下の小さな小惑星です。国内で見つかった隕石は今回を含めて53ありますが、軌道が特定でき、どの小惑星からきたのか起源が推定されたケースは今回が初めてです。

なぜ今回は起源を推定することができたのか。それは、あの火球の映像です。日本大学の阿部新助准教授は異なる地点から撮影された映像があったことが大きいと言います。

関東地方は、観測用のカメラも多く設置されていて、しかも強く光ったために各地の映像に記録されたのです。それを分析することで、どの方向からどのような向きで大気圏に入ってきたか分析し、もともとの軌道を決定することができました。

その軌道は、地球の内側から火星の外側に至る楕円軌道で、細かい角度などもわかりました。およそ2万3500個の小惑星と比較すると、この軌道は3つの小惑星とよく一致したということです。

こうして、3つの小惑星のいずれかからきた可能性があることがわかったのです。

阿部准教授は3つの小惑星を観測して隕石の分析結果と比較すれば、さらに絞り込むことも可能だとしています。阿部准教授は「起源が推定された隕石は世界的にも少ない。いわば、血統書付きの隕石で非常に貴重だ」と話しています。