インド カシミール地方の自治権撤廃から1年 市民生活に影響

インド カシミール地方の自治権撤廃から1年 市民生活に影響
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インドがパキスタンと領有権を争うカシミール地方の州の自治権を撤廃して5日で1年となります。自治権が撤廃され、州からインド政府の直轄地となった地域では、インド政府への抗議活動が広がらないようインターネットの通信が規制され、学校のオンラインの授業も事実上、行えない状態となるなど、市民生活に影響が出ています。
インド政府は長年パキスタンと領有権を争うカシミール地方のうち、実効支配してきたジャム・カシミール州について、70年にわたり認めてきた自治権を、去年8月5日、突如、撤廃しました。

州も分割、政府の直轄地とされて、地域の中ではインド政府への抗議活動が広がらないよう、インターネットの通信が規制され、4日からは外出禁止令が再び出されるなど、市民生活への影響が広がっています。
新型コロナウイルスの影響で校舎は閉鎖され、学校はオンライン授業を行っていますが、通信が規制されている影響で、動画の読み込みもままならない状態です。
さらに主要産業の観光業も、自治権の撤廃後に出された外出禁止令の影響や新型コロナウイルスの感染拡大の打撃を受け、湖の上の宿泊施設として観光の呼び物になっている、ハウスボートと呼ばれる豪華船の利用者も落ち込んだままです。
船のオーナーの男性は「去年8月以降、観光客が全く来なくなってしまった。来年も観光業が回復する見込みはありません」と話していました。

パキスタンはインドとの貿易停止

領有権を争うカシミール地方の州の自治権が撤廃されたことを受けて、パキスタンがインドとの貿易を停止し、周辺の住民にも大きな影響を与えています。

今もパキスタンが実効支配するカシミール地方のムザファラバードでは、貿易が停止された影響で、去年8月以降、インドとの間で原則として人やモノの行き来ができなくなっています。

また、断続的に通信も規制されるようになり、インドとの電話がほとんどつながらない状態になっているということです。
夫と2人の子どもと暮らすインド人のアジャズ・コウサルさん(34)は、9年前にインドからムザファラバードに移り住みました。

インドには高齢の両親と姉が残っていますが、電話もつながらず、手紙もやり取りできないため、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、安否の確認もできないといいます。

また夫は、以前はインドの小売店向けにドライフルーツなどを輸出していましたが、貿易が停止された影響で、収入がほとんどなくなりました。

食事を1日1食に減らすなど生活費を切り詰め、貯金を取り崩す生活で、別の仕事を探していますが新型コロナウイルスによる経済の悪化で仕事は見つからず、状況は厳しさを増すばかりだといいます。

妻のアジャズ・コウサルさんは、「パキスタンとインドの関係が1日も早く正常化し、平和な日が来ることを願っています」と話していました。