女性の健康問題を技術でサポート 注目集めるフェムテック

女性の健康問題を技術でサポート 注目集めるフェムテック
k10012550001_202008050523_202008050525.mp4
生理や妊娠・出産、更年期など、女性の健康問題を技術を使ってサポートする「フェムテック」と呼ばれる製品への注目が日本でも集まり始めています。こうした製品を販売する店が都内にオープンし、多くの女性たちが訪れ関心の高さがうかがえます。
女性の健康に関する悩みや問題をテクノロジーを使って解決する商品やサービスのことを、英語で「女性」と「技術」を意味することばをかけて「フェムテック」と言います。

こうした「フェムテック」製品を販売する店が先週、都内にオープンしました。

この店のコンセプトは「未来の日用品店」。

店内には、ナプキンのいらない生理用の下着や、産後や更年期に悩みを抱える人が多い尿漏れを解消するためのトレーニング機器、それにデリケートゾーンのケアができるクリームなどが並んでいます。

店には、実際に手に取ってみたり、体験したりすることができるとあって、オープン初日から女性客が訪れていました。

また、若者に人気のファッションビルでもフェムテック製品を集めた店舗が期間限定で開設され、訪れた30代の女性は生理中ナプキンの代わりに使用する月経カップを手に取りながら「もっと固いと思っていたけれど触ってみると柔らかくて、実際に触れてよかったです。デザインもかわいくて、洋服をみているような感覚でした」と話していました。

フェムテック製品の販売を行う杉本亜美奈さんは「商品があることによって、自分のからだの悩みについて考えたり、親子で話したりする機会になると思う。今までタブーとされていたものが、当たり前に置いてあるような社会になってほしい」と話していました。

「フェムテック」とは

フェムテックとは、英語で女性を意味するフィメールと技術を意味するテクノロジーをかけた造語です。

女性の生物学的な機能から生じる健康問題について、技術を使って改善して、生活の質を上げようという発想から生まれました。

市場としては10年ほど前からありましたが、2016年ごろにデンマーク出身の女性企業家が自身が開発した生理日予測アプリへの投資を募るために「フェムテック」ということばを積極的に使い始めたことで広がったとされています。

「フェムテック」は、女性のライフステージごとの課題を解決しようと、さまざまな製品やサービスが開発されていて、その分野は多岐にわたります。

大きく分けると、
▽生理に関するもの、
▽妊娠・出産に関するもの、
▽性生活に関するもの、
▽更年期に関するもの、
▽乳がん・卵巣がんなど、女性の病気の早期発見に関するものなどがあります。

これまではタブーとされていた分野がほとんどですが、女性の健康に関する悩みは多く、技術を駆使して解決しようとする社会起業家たちが増えています。

近年では、「フェムテック」ということば、そのものに「タブーとされてきた課題を解決しよう」との意味合いも込められるようになってきているとの指摘もあります。

市場は急速に拡大

「フェムテック」に関連するサービスや製品を開発しているのは、主にベンチャー企業で、世界のフェムテック企業の数や投資額は伸び続けています。

日本で、主に海外のフェムテック製品を販売している「フェルマータ」によりますと、フェムテック企業の数は、3年前には世界で50社ほどでしたが、ことしの3月には318社と、3年で6倍以上に増えています。

また、アメリカの調査会社によりますと、世界全体でのフェムテック市場への投資額は、2008年には2300万ドル、日本円でおよそ24億円でしたが、2018年には3億9200万ドル、日本円で415億円になり、10年で17倍に増えました。

そして、5年後の市場規模は5兆円に上るとの試算もあります。

市場が急速に拡大している背景について、イギリスのベンチャー投資家、サーシャ・アスタフィエバさんは、性暴力やセクハラを告発する「#MeToo」運動などにより、職場や社会などで女性を取り巻く環境が大きく変わったことで人々の意識が変化し「それまでタブーとされてきた女性の健康や性に関する会話ができるようになったことで、そこに市場があると気付いた」と分析しています。

また、これまで医学的な研究開発は、主に男性を対象に行われてきましたが、男女では性差があり、女性の健康が置き去りにされてきたことに気付いたことや、女性の健康に関する問題は、ライフステージごとに長期にわたって需要があると気付いたことも大きいと話していました。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一時、資金調達に苦しむ企業もあったということですが、市場全体としては依然として拡大傾向にあり「コロナ禍で、自分の健康は自分で守るという意識が高まり、それは女性の健康問題についても同じだったのではないか」と分析しています。

世界で関心高まるも多くの課題も

フェムテックは、世界最大規模のテクノロジーの見本市「CES」でも製品が紹介されるなど、世界で注目が集まっています。

例えば、寝ている間に体に装着することで妊娠しやすい時期がわかる機器や、乳房をマッサージして授乳しやすくするための機械などが紹介されています。

フェムテックへの関心と需要の高まりを受けて日本を含め、欧米でも投資が拡大している半面、フェムテック製品の開発の背景にある女性の健康に関する課題はタブー視されているほか、医療機器として登録するためには制度的な課題も多く、進んでいないのが実情です。

イギリスの投資家のアスタフィエバさんは、フェムテック製品の製造や販売には文化的にも制度的にも、さまざまな課題があると指摘したうえで「人口の半分は女性で、女性の健康に関することは決してニッチな問題ではなく、潜在的に多くの消費者がいると気付くことによって、タブーがタブーではなくなり、市場はさらに拡大するだろう」と分析しています。