復活優勝の照ノ富士 心身の成長した姿が印象的 大相撲7月場所

復活優勝の照ノ富士 心身の成長した姿が印象的 大相撲7月場所
大相撲の大関経験者で今場所幕内に復帰した照ノ富士が、7月場所千秋楽の2日、関脇御嶽海に勝って13勝2敗とし2回目の優勝を果たしました。
今場所の照ノ富士は、かつてのような力強さや圧力を取り戻しつつあることに加え、自分の形に持ち込めない場合でも前に出続ける「落ち着き」と「辛抱強さ」を持ち合わせ、大関時代からさらに一回りも二回りも心身の成長した姿が印象的でした。
照ノ富士の持ち味は、体重およそ180キロの恵まれた体格を生かし四つ身でどんどん前に出ていく正攻法の相撲。

その圧倒的な圧力がかつて「横綱候補」とまで言われた活躍の原動力でした。

しかし、ひざのけがなどに苦しむようになってからはその圧力が影を潜め不十分な体勢からの投げに頼るなどなかなか本来の相撲を取ることができていませんでした。

一時は、しこも踏めない状態までけがが悪化したという照ノ富士でしたが、回復に伴い少しずつ稽古を再開する中で、みずからに必要なことを理解していました。

今場所が始まる前、照ノ富士は「今まで上半身で相撲を取ってきたが、幕内はそう簡単にいかない。下半身はここ最近にないくらい鍛えている」としこやすり足、筋力トレーニングなどで下半身を徹底的に鍛え直していることを明かしました。

そして、2年半ぶりに幕内で迎えた今場所の照ノ富士の相撲は、どれだけ地道な努力を続けてきたかを十分にうかがわせるものでした。

かつてのような圧力が復活し得意の右四つになれば万全なのはもちろん、まわしを引けなくても相手を体の正面に置いて落ち着いて前に出ていき、つけいる隙を与えませんでした。

強引とも見えた大関時代の取り口とは異なり、自分の体勢になれなくても簡単に下がらない辛抱強さも持ち合わせていました。

12日目には、押し相撲の実力者で優勝経験のある玉鷲から張り手混じりの激しい突き押しを受けながらも前に出続けて寄り切った相撲には、苦しい時期を耐え抜いてきた精神面での成長がかいま見えました。

圧巻だったのは13日目、新大関・朝乃山との一番です。

右四つを得意とする力士どうし、がっぷり四つに組み合ったことで逆に両者の地力の差が明確になりました。

左上手がやや深い位置になってしまった朝乃山に対し照ノ富士は、低い体勢から前みつ付近をがっちりつかみ、うまく相手の上手を切りながら十分な体勢を作って寄り切り完勝でした。

持ち前の力強さと培ってきた四つ相撲の技術がかみ合い、かつての自分のように番付を駆け上がってきた若い大関を真っ向勝負で破ったのです。

5年ぶりの優勝を決めた直後、照ノ富士は「続けてきてよかった。最後にこうやって笑える日が来ることを信じていた」と浮かれることなく、これまで歩んできた道をかみしめました。

「5年前はイケイケの時に優勝したが、今は慎重に1つのことに集中してやってきた」と続けたことばは、「やんちゃ」とも言われた大関時代から一回りも二回りも心身が成長した今場所の姿を象徴していました。

師匠の伊勢ヶ濱親方は、「まだ本人はけがと戦っている最中だ」と話し、来場所以降、厳しい道のりが待っているかもしれません。

それでも、どん底からはい上がってきた強じんな精神力で、大関への復帰、さらにその先の番付への挑戦を見せてほしい。

そう思わせてくれる復活優勝でした。