SNSで新型コロナウイルス弱毒化の声「科学的根拠ない」専門家

SNSで新型コロナウイルス弱毒化の声「科学的根拠ない」専門家
新型コロナウイルスの感染が拡大する一方で、重症者の数が以前より少ないことから、SNSなどでウイルスが弱毒化したのではないかという声が上がっていることについて、専門家は「現時点では科学的な根拠はなく、これまでどおり感染対策に取り組んでほしい」と呼びかけています。
新型コロナウイルスの全国の一日当たりの新たな感染者数は、31日で3日連続1000人を超えるなど感染が拡大する一方で、重症者の数は増加傾向にはあるものの、30日の時点で全国で90人と、緊急事態宣言が出ていたピーク時の3分の1以下となっています。

こうした中、SNSなどではウイルスの毒性が弱くなったのではないかという声も上がっています。

これについて新型コロナウイルスの治療の中心的な役割を担う国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は「海外の状況を見ても、ウイルスが弱毒化したという科学的な根拠は今のところない。また、実際に患者を診ていてもそうした実感はない」と指摘しました。

そして、忽那医師は「第1波の時は、重症者を見つけるために症状のある人を優先的に検査していたが、現在は検査数が増え、感染の実態が以前より詳細に分かるようになった。軽症や無症状の人が多く見つかるようになったため、重症になる人の割合が少なくなったように見えていると考えられる」と話しました。

そのうえで、現時点でウイルスの毒性が弱くなったと考えて対策の手を緩めてしまうのはリスクが高いとして、忽那医師は「重症者は感染者の増加に1~2週間遅れて増える特徴があるため、今後、重症者が増えるのではないかと強く懸念している。人工呼吸器の装着などの治療には多数のスタッフが必要で医療現場に大きな負荷がかかるため、可能なかぎり重症者は増えないほうがよい。この週末も外出を控えるなど一人一人が自覚を持って感染対策に取り組んでほしい」と話していました。