全国の平和資料館など 8割超が施設維持に課題

全国の平和資料館など 8割超が施設維持に課題
先の大戦の空襲をテーマにした企画展を行った全国の平和資料館などにNHKがアンケート調査した結果、8割以上が、「老朽化」や「運営費」など、施設の維持管理に課題があると考えていることが分かりました。
ことしは、終戦から75年を迎えます。
先の大戦の空襲などによる被害を伝える資料や、体験者の証言などを保管する全国の平和資料館や美術館などに対して、NHKは今月、わだつみのこえ記念館の山辺昌彦館長の協力を得てアンケート調査を行い、138の施設から回答を得ました。

このうち施設の維持管理について尋ねたところ、8割以上となる114の施設が課題があると回答しました。

具体的な課題を複数回答で尋ねると、「老朽化」が最も多く77の施設、「運営費」が57、「人員の確保」が45、「入館者の減少」が32などとなっています。

自由記述欄では「歴史資料の専門知識がある職員が高齢化しているが、新たな人材確保が困難」とか「資料の収蔵スペースが不足し、適切な保存環境にはないため資料の劣化が進むおそれがある」といった声が相次ぎました。

また戦争遺品の保管についても、全体の6割以上となる83の施設が課題があると答え、遺族などからの寄贈の申し出を断ったことがあるところも半数近くの66に上りました。

一橋大学名誉教授で、東京大空襲・戦災資料センターで館長を務めている歴史学者の吉田裕さんは「日本では戦争に関する公的な記念館や資料館が非常に乏しいなか、各地の資料館などが努力しさまざまな記録を集めてきた。しかし、ここ数年で急速に失われていくおそれが出ており次の世代に体験を継承するのに非常に大きな支障を来すだろう」と話しています。

東京 江東区の施設では

東京・江東区にある「東京大空襲・戦災資料センター」は、回答を寄せた資料館の1つです。

建設予定だった東京都の平和祈念館の計画が都議会の意見の対立により、凍結されたことなどから、平成14年に民間の人たちにより建設され、管理運営されてきました。

しかし、平成30年度の来館者数は、ピーク時より3割以上少ない9933人となるなど、運営費の確保が課題となっています。

また、戦争遺品の受け入れについても、収蔵スペースや、管理にあたる人員が確保できず、受け入れを断ったことがあるということです。

センターでは、「戦争の歴史を伝える場所を残すことが大事なので若い方にも足を運んでほしい」と話しています。