産後うつの自殺予防 「早期に寄り添う」が効果 厚労省研究班

産後うつの自殺予防 「早期に寄り添う」が効果 厚労省研究班
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産後のうつなどによる自殺を防ぐため、長野市が出産後まもない女性を対象に保健師による面談を行い、自殺を望むような考えを持つ人に早期に話を聞いて気持ちに寄り添う支援を始めたところ、「支援がない場合に比べ、状態が悪化するのを防ぐ効果があった」とする研究結果を厚生労働省の研究班がまとめました。
研究を行ったのは、国立成育医療研究センターの立花良之医師が代表を務める国の研究班です。

研究班は、4年前から長野市とともに、保健師が、出産後まもない女性と面談する際に国際的に使われている質問票をもとに、うつの兆候があるかどうかを確かめてきました。

さらに、自殺を望むような考えがうかがえた場合には、保健師がすぐに話を聞いて気持ちに寄り添う支援を行う「長野モデル」という取り組みを行いました。

そして、「長野モデル」の導入前に妊娠がわかった市内の女性230人と、導入後に妊娠がわかった234人について、一定の期間が過ぎた後の心の状態を質問票をもとに確認した結果、導入前の人たちは、27人が「自殺のおそれがある」と判定されたのに対して、導入後は、10人にとどまりました。

立花医師は「母親の不安定さに保健師が早期に気付き、気持ちを聞き取り寄り添うことが自殺の予防に効果的だということがわかった。準備が必要な資材などは何もないので、全国の自治体で導入して、1人でも多くの母親を自殺の危機から救ってほしい」と話しています。

長野市の取り組みとは

年間およそ2800人の新生児が生まれる長野市では、出産直後の母親を支援しようと平成28年から産後のうつの兆候などを早期につかむ取り組みを始めています。

取り組みでは、産後1か月から1か月半のタイミングで行う「新生児訪問」の際に、専門の研修を受けた保健師が国際的に使われている質問票などを使って母親の話を聞きます。

自殺を望むような考えがうかがえた場合には「誠実な態度で話しかける」「相手の訴えに傾聴する」など自殺予防の対応を定めたマニュアルに沿って母親の気持ちに寄り添いながら必要な支援につなげていくということです。

市の「母子保健コーディネーター」として、取り組みの中心的な役割を担っている1人で保健師の清水美枝子さんは、「自殺予防の概念や手法を取り入れることでより母親の気持ちに近づいて支援が行えるようになった」と話しています。

おととしからは母親の異変をより早くつかめるよう、医療機関と連携して産後2週間と1か月に行われる「産婦健診」でも母親に聞き取りを行っています。

清水さんによりますと、市として詳細な分析はしていないものの、取り組みを重ねるにつれ、自殺を望むような考えを持つ人や育児への不安が強い人など、継続的な支援の必要な人が少しずつ減っている実感があるということです。

清水さんは「母親を孤独にさせないよう妊娠中から産後まで切れ目のない支援をしていきたい」と話しています。