東証1部 上場企業の決算発表が本格化 新型コロナで大幅減益

東証1部 上場企業の決算発表が本格化 新型コロナで大幅減益
東証1部に上場する企業のことし6月までの3か月間の決算発表が本格化しています。新型コロナウイルスの影響で国内外で移動の制限や営業の自粛が続いた時期で発表を終えた127社の集計で、最終的な損益は前の年の同じ時期より98%の大幅な減益となり、33社が赤字となりました。
SMBC日興証券は、3月期決算の東証1部上場企業のうち29日までに、ことし4月から6月までの決算を発表した127社の業績を集計しました。

この時期は新型コロナウイルスの感染拡大で、全国に緊急事態宣言が出されたほか、海外でも移動が制限され127社合わせた売り上げは、去年の同じ時期と比べて26%減少しました。

空運が75%減少したほか、自動車業界を含む輸送用機器が49%、鉄鋼や小売が30%と大幅に落ち込み、ほとんどの業種が売り上げを減らしました。

また、127社の最終的な損益を合わせると、利益は98%減少して大幅な減益となりました。

赤字となった企業は33社にのぼり、新型コロナウイルスの影響が打撃となったことが鮮明になっています。

また、今年度の1年間の業績見通しについては、ことし春に昨年度の決算を発表した時点では半数以上の企業が「未定」としていましたが、今回は今のところ64%の企業が見通しを明らかにしています。

ただ、日産自動車が新型コロナウイルスの影響に伴う販売の落ち込みで6700億円の赤字、三菱自動車工業が3600億円の赤字、三越伊勢丹ホールディングスが600億円の赤字を見込むなど、経済活動が再開しても影響は長期化することを前提にした厳しい予想になっています。

専門家「景気への影響は長期化」

SMBC日興証券の安田光株式ストラテジストは「経済活動を再開した国で感染が再び広がり、景気への影響は長期化する見通しだ。企業決算はこれを大きく反映して厳しい内容となっている。ただ、オンライン会議の導入で出張費などのコスト削減を進め、利益の落ち込みを縮小させる企業も出始めている。選択と集中を加速させることができるかがウィズコロナ時代の業績の明暗を分けるだろう」と指摘しています。