早めの避難 けが人なし 最上川氾濫の大石田町

早めの避難 けが人なし 最上川氾濫の大石田町
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今回の記録的な大雨で山形県内では住宅の浸水など大きな被害が発生しましたが、住民たちは早めの避難を心がけ、実行に移しました。

「空振りでもかまわない」早めに避難指示

最上川が3か所で氾濫した大石田町では、1028世帯、3000人あまりに避難指示が出され、4人に1人が避難所に避難しました。

町のほぼ全域が断水し、浸水被害を受けた住宅も100棟以上に上りましたが、けが人は1人もいませんでした。

町は最初の氾濫が起きた時間帯の5時間以上前、28日午後6時すぎに流域の地区の住民に「避難勧告」を出し、午後7時半に、「避難指示」へと切り替えました。

災害への対応に当たった大石田町総務課の高橋慎一課長は、「最上川と同じように急流として知られていた熊本県の球磨川が、短時間で氾濫した最近の災害も参考に、早めに避難勧告を出した。水位の上がり方が尋常ではないと感じ、空振りになってもかまわないと、早めに避難指示に切り替えた」と話しています。

「命第一主義で」住民も早めの避難

こうした町の対応とともに、住民たちが早めの避難を心がけていたこともわかりました。

大石田中学校に設置された避難所に避難していた80代の男性は「堤防ぎりぎりまで上がった水位を見て、町から避難指示が出れば、すぐに避難しようと考えていました。家のことよりも、命第一主義で素早く動きました」と避難するまでの経緯を振り返りました。

“地域のつながり”で呼びかけも

さらに地域のつながりが迅速な避難につながったケースもありました。

浸水被害が発生した豊田地区の区長を務める芳賀清一さん(72)は、自治体から避難勧告や避難指示は出ていませんでしたが、川が「氾濫危険水位」に達するのを確認し、消防団員などと一緒に、地区の住民たちに早めの避難を始めるよう呼びかけたということです。

地区のおよそ90世帯が速やかに公民館や小学校に避難したり、自宅の2階に避難したりした結果、逃げ遅れた人はいなかったということです。

芳賀さんは、「この地区では毎年のように梅雨や台風の時期に浸水被害があるうえ、最近では各地で豪雨被害があったので、みんなも危機感を持っていたと思う。これまでの教訓を生かして、今後もとにかく早めの避難を呼びかけたい」と話していました。

専門家「早めの避難心がければ命を守れる」

今回の記録的な大雨で、山形県内では今のところ、死者が出ていないことについて、災害時の避難に詳しい東北大学災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授は「九州など全国で大雨に関する報道がされる中で行政が危機感を持って早めに避難指示などを出したことに加え、地域の区長など身近な人が住民に避難を呼びかけたことも早めの避難行動につながったのではないか」と指摘しました。

そのうえで、「近年は雨の降り方が激しくなる中で川から水があふれ、被害を避けることは難しくなってきている。しかし、早めの避難を心がければ、命は守ることができるので気象情報をこまめに確認して避難行動につなげてもらいたい」と話していました。