大相撲 あすからの7月場所前に「土俵祭」国技館

大相撲 あすからの7月場所前に「土俵祭」国技館
東京 両国の国技館で、収容人数の4分の1程度の観客を入れて19日から始まる大相撲7月場所を前に「土俵祭」が行われ、日本相撲協会の八角理事長などが場所の安全や成功を祈願しました。
大相撲7月場所は、新型コロナウイルスの影響で会場を名古屋市から東京・両国にある国技館に変更したうえで、収容人数の4分の1程度となるおよそ2500人の観客を入れて開催されます。

19日の初日を前に、18日は国技館で「土俵祭」が行われ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方などが参加しました。

新型コロナウイルス感染防止のため一般には公開されず、三役以上の力士の出席も見送られるなか、土俵では行司が祝詞をあげ、土俵中央に掘られた穴に塩や米などの「鎮め物」を納めて7月場所の安全と成功を祈願しました。

大相撲が観客を入れて開催されるのはことし1月の初場所以来半年ぶりで、相撲協会はガイドラインを作成し、力士などの協会員や観客に対して感染防止対策を徹底することにしています。

マス席は定員1人に 国技館の感染防止対策は

日本相撲協会は7月場所の開催に合わせて、力士や観客が気をつけるべき点などをまとめたガイドラインを作成し、東京 両国の国技館ではさまざまな感染防止対策が取られることになっています。

まず、国技館の入り口ではサーモグラフィーを使って観客の体温を測定し、37度5分以上の場合は入場ができません。

7月場所では観客を収容人数の4分の1程度のおよそ2500人に制限。観客には大声での声援を控えるよう求め、拍手での応援を勧めていて、花道などでは力士に触れる行為を禁止しています。

土俵が間近に見える「たまり席」を使用せず、通常4人が定員の「マス席」は1人での観戦となります。

大きく変わるのは東西の支度部屋です。

これまでは取組を待つ力士や付け人、それに報道陣などが密集していました。

このためアクリル板を設置してブースを設け、力士が1人ずつ待機できるようにしました。

ブースには取組順に番号がふられて、座る場所が決められていて、横綱は支度部屋のいちばん奥に12畳分、大関は3畳分、その他の力士は2畳分が割り当てられ、力士の地位に応じてスペースの広さが異なっています。

また、幕内力士と十両力士にはそれぞれ付け人がいて密集するおそれがあることから、十両の支度部屋を国技館の敷地内にある「相撲教習所」に設けました。

力士やまげを結う床山は支度部屋の中で常にマスクを着用し、取組の前、花道に向かう際に初めて外すことができます。

花道には一定の距離を空けて床に赤いシールが貼られ、取組前の力士が距離を取って待機することになっています。

さらに報道陣と観客、それに力士など協会員の動線も完全に区別され、取材は支度部屋の外に置かれたパソコンと記者の控え室をオンラインで結んで行われます。

取組中の力士以外は、人と人との接触を極力避ける対策を取っています。

白鵬と鶴竜 両横綱も意欲

ことし1月の初場所以来となる、半年ぶりに観客を入れて開催される7月場所に向けて、白鵬と鶴竜の両横綱も意欲を見せています。

白鵬は「観客が入るのはやっぱりありがたいことですし、でも、やることはいつもと変わらずやっていきたいと思っています。10日目まで頑張れば横綱出場1000回の大台に立つので、目標というか、モチベーションです」と話しています。

鶴竜は「拍手をもらったりとか、声をかけてもらうのはやっぱり力士にとって力になる。いつもどおり集中して土俵に上がることが大事だと思う。優勝の目標に向かって1日1日、積み重ねていくしかない」と意気込みを示しています。

尾車事業部長「勇気 希望を与えられる場所に」

東京で行われる本場所の責任者で事業部長を務める尾車親方は、初日を19日に控えて電話での取材に応じ「コロナ禍で始まるので緊張感でいっぱいだ。お客さんの安全面も考えなくてはいけないし、感染者を出すことがあってはいけない。いろいろな対策を立てて始めるが、毎日みんなですべて確認していきたい」と話しました。

そのうえで「こういう時だからこそ、力士には力強い相撲を取ってもらって、お客さんにいろんな意味で勇気、希望を与えられる場所になったらいいなと期待して、15日間頑張ろうと思う」と力士の奮闘を期待していました。

感染防止へ専門家「観客の協力も重要」

日本相撲協会のガイドライン作りに関わった東京大学医科学研究所の四柳宏教授は、人どうしの接触をできるだけ減らすなど最大限の努力が必要とする一方、観客の協力も非常に重要だと指摘しています。

四柳教授は今回のガイドラインについて「限りなく感染が起こらない状況を作らないと本場所の開催には持っていけないと考えた。協会員、力士対力士もそうだが、土俵のサイドにいる審判、呼出のリスクも考えなければいけない。観客と相撲協会の関係者のお互いの接触をできるだけなくす、観客と観客の間の接触をなくす努力が工夫がなされてガイドラインが作られている」と説明しました。

これまでは取組を待つ力士どうしが密集していた東西の支度部屋に仕切りのための板を設置したことについては「非常にたくさんの方が入って密な空間になっていた。その密を避けなければいけないので、基本的にどこにどの力士がどう着座をするかを決めた」などと説明しています。

観客を入れての開催については「東京開催はできないということではないとは思うが、再び感染が市中にも広がり始めているということを念頭に置いて、観客にもご協力をいただかなくてはならない。自分の座った席をちゃんと控えておいたり、マスクの着用や消毒を徹底していただくことなどが非常に大事だ」と述べ、相撲協会員だけでなく、観客の協力も欠かせないとする認識を示しました。

そのうえで「柔道やボクシングなどの格闘技が行われるうえで、今後の1つのひな形を提示することになると思う。ここまで相撲協会は安全に開催すべく最大限の努力を払っているが、開催して本当に感染者の方が出ないかということをきちんと見てやっていかなくてはならないし、ガイドラインのブラッシュアップも重ねていく必要がある」と話しています。

式守伊之助 体調不良のため7月場所全休へ

大相撲の行司の最高位、立行司の式守伊之助が19日からの7月場所を体調不良のため休場することになりました。日本相撲協会広報部によりますと立行司の式守伊之助は体調不良のため7月場所を全休するということで、初日を19日に控えた18日の「土俵祭」も欠席していました。通常は立行司が務める結びの一番は今場所は三役格の行司が順に務めることになります。