経団連 コロナ感染拡大防止と経済活動両立へ提言まとめる

経団連 コロナ感染拡大防止と経済活動両立へ提言まとめる
経団連は、感染拡大の防止と経済活動の両立に向けた提言をまとめました。グローバルな人の往来再開に備えた検査体制の拡充や、社会全体のデジタル化の推進などを求めています。
経団連が16日開いた夏季フォーラムで、新型コロナウイルスに関する政府の分科会の尾身茂会長が講演し「検査のニーズの全体像を把握するため、症状のある人と、症状がなくても感染リスクが高い人、症状がなくても感染リスクが低い人の3つのカテゴリーに分けて、新たな検査体制を確保するべきで、きょうの分科会で提案したい」と述べました。

このあと経団連は、新型コロナウイルスの感染が続く、いわゆる「ウィズコロナ」を前提とした新たな経済活動の在り方について提言をまとめました。

この中では、グローバルな経済活動の再開のため、検査体制の拡充や出入国手続きの効率化に取り組むことや、対応の遅れが浮き彫りになった、政府や教育現場など社会全体のデジタル化を進めることなどを求めています。

経団連は今後、政府にこの提言を示し、官民で感染の拡大防止と経済活動の両立を図りたいとしています。

企業経営者「感染対策を徹底し実施すべき」

今月22日から実施する予定の「Go Toトラベル」について、経団連の夏季フォーラムに参加した企業経営者からは、経済の活性化のため、感染対策を徹底したうえで実施すべきだとの声が相次ぎました。

このうち、ANAホールディングスの片野坂真哉社長は「今は感染をおさえながら経済を復活していくという両輪が重要だ。いろいろな意見が出ているが、旅行業界や観光業界としては、地方も含めて期待があり、国の決定をしっかり見守りたい」と話しました。

JR東日本の冨田哲郎会長は「全国的に地方経済が疲弊しつつあるなかで、観光業をもり立てて、全国全体を支えるという考え方が大切だ。われわれ運輸業としても、感染拡大防止に万全を期すのが絶対条件だが、経済とのバランスをとっていく必要がある」と話しました。

みずほフィナンシャルグループの佐藤康博会長は「地方経済の活性化を考えると、『Go Toキャンペーン』は意味があると思うので、受け入れ先や旅行する本人の感染対策の徹底を大前提に、実施するべきだ」と話しました。

サントリーホールディングスの新浪剛史社長は「地方経済が大変厳しいなかで、まずはキャンペーンを実施していくべきだと思う。自治体によっては、知事などの考えで『来てもらいたくない』という対応もあっていいと思うが、経済の浮揚が非常に重要なので、感染対策をとりながら、実施すべきだ」と話していました。

NECの遠藤信博会長は「新幹線のような移動の際の感染は少ないと聞いている。地方経済が悪化しているので、リスクが少ないのであれば、キャンペーンは1つの方法だ」と話していました。

一方、東京都の感染者数がこれまでで最も多くなったことについて、住友商事の中村邦晴会長は「これまでテレワークを基本としていたところに、感染者がぐっと増えてきたので、これからどうするか悩ましい。当面は、在宅勤務を基本にシフト制を組んで、従業員の健康と安全を第一に考えていきたい」と述べました。