感染症指定医療機関 学会認定の専門医在籍は35%だけ

感染症指定医療機関 学会認定の専門医在籍は35%だけ
感染症治療の中心的な役割を担うとされる感染症指定医療機関について、日本感染症学会が調査したところ、学会が認定する感染症の専門医はおよそ35%の施設にしか在籍していないことが分かりました。専門家は「新型コロナウイルスの流行がさらに大きくなった場合、医療体制に大きな影響が出るおそれがある」と指摘しています。
この調査は日本感染症学会が、感染症に対する医療体制の実態などを調べるために行いました。

それによりますと、国や都道府県が指定する感染症指定医療機関、合わせて400余りのうち、学会が認定する感染症専門医が在籍しているのは先月12日時点で、全体の35.3%に当たる144施設だったということです。

内訳を見てみますと、危険性が高い感染症を治療する「特定感染症指定医療機関」と、「第一種感染症指定医療機関」の合わせて57施設のうち、専門医がいるのは77.2%に当たる44施設でした。

また、感染症の専門的な治療に対応する「第二種感染症指定医療機関」では、351施設のうち、専門医がいるのは28.5%に当たる100施設にとどまっていました。

学会によりますと、国内では大学病院などでも感染症の治療や研究を専門にした感染症科が少なく、専門医の育成が思うように進まないことなどが原因として考えられるということです。

日本感染症学会の舘田一博理事長は「今後、新型コロナウイルスの流行がさらに大きくなるなどした場合、専門医がいないと医療体制に大きな影響が出るおそれがある。専門医を増やす体制を整えるなど、早急に現状を改善する必要がある」と指摘しています。

感染症専門医の認定

日本感染症学会は、感染症全般に対して専門的な治療ができる医師を感染症専門医として認定しています。

感染症専門医として認定を受けるためには、ベテランの専門医の指導のもとで、通常は3年間かけて、さまざまな感染症の症例や治療法などを学び、また、研究の成果を論文にまとめるなどしたうえで、最終的に学会の試験に合格する必要があります。

日本感染症学会によりますと、ことし6月時点で1560人が専門医の認定を受けているということです。