大相撲7月場所 東京 両国国技館で約2500人の観客入れ開催へ

大相撲7月場所 東京 両国国技館で約2500人の観客入れ開催へ
日本相撲協会は大相撲7月場所について、今月19日から東京 両国の国技館を会場に、収容人数の4分の1程度となるおよそ2500人の観客を入れて開催することを決めました。
相撲協会では、力士や観客などを対象に感染防止対策を徹底したうえで開催するとしています。
日本相撲協会は13日、国技館で臨時の理事会を開きました。

この中で、先月にかけて協会員およそ900人を対象に行った抗体検査の結果や感染症の専門家からの助言、さらにプロ野球やJリーグが政府の方針にのっとって、今月10日から観客を入れて開催した状況などを踏まえて、7月場所の開催について検討しました。

その結果、7月場所については、力士や観客などに感染防止対策を徹底したうえで、会場の国技館の収容人数の4分の1程度、およそ2500人の観客を入れて開催することを決めました。

開催にあたっては、4人用の「マス席」の利用を1人に減らすほか、接触を伴うファンサービスを一切禁止するなどして力士や観客の接触を避けるとしています。

また、観客に対しては感染予防策を徹底するとしてマスクの着用や入場する際の手と指の消毒を義務づけるほか、声援の自粛を求め、拍手を推奨するということです。さらに、観客全員に消毒液を配布するとしています。

大相撲が観客を入れて開催されるのは、ことし1月の初場所以来3場所ぶりです。

また13日の臨時理事会では、例年11月に福岡市で行われている九州場所について移動や長期滞在によるリスクを避けるため、会場を国技館に変更して開催することも決まりました。

相撲協会は、臨時理事会のあと力士や観客が気をつけるべき点などをまとめたガイドラインを発表しました。

それによりますと、力士に対しては、▽支度部屋でマスクを着用し、
▽ファンに対しての握手やサイン、一緒に写真を撮るなどの行為を行わないよう求めています。

また、観客に対しては、▽入館前に体温を測定し、37度5分以上の場合は入場をやめることや、▽花道などで力士に触れる行為をしないよう求めています

日本相撲協会の八角理事長は「ガイドラインの制定などを進めてきたことによって、お客様を安全にお迎えし7月場所が開催できると判断しました。力士たちは皆、4月から3か月半、厳しい外出規制や感染予防策を忠実に守り、7月場所に備えてきました。大相撲ファンの皆様のご期待に沿った迫力ある土俵をお見せできると思います」とコメントしています。

大相撲は、新型コロナウイルスの影響で、ことし5月の夏場所が中止となり、相撲協会は7月の本場所について、会場を名古屋市から国技館に変更したうえで、今月19日から無観客での開催を目指すとしていました。

芝田山広報部長「1人でも感染 即中止ではない」

日本相撲協会の芝田山広報部長は、仮に今回の7月場所中に相撲協会員に感染者が出た場合でも、すぐに中止することはないという考えを示しました。ことし3月、観客を入れずに行われた春場所で日本相撲協会は、協会員に1人でも感染者が出た場合、すぐに場所を中止する方針を示していました。

芝田山広報部長は13日、報道陣の取材に対し、7月場所で感染者が出た場合の対応について、「出た状況も踏まえて1人でも感染者が出たら中止ということにはならない」と述べ、すぐに中止することはないという考えを示しました。

相撲協会が発表したガイドラインでは、力士が朝の検温で体温が37.5度以上あった場合などには稽古を休ませて隔離し、PCR検査か抗原検査を受けることとしています。

このほか、芝田山広報部長はガイドラインで力士が支度部屋でもマスクの着用を求められていることについて、「非常に力士にとって過酷なことだと思う」と力士をおもんばかりながらも、「これをなくして開催することは難しい。こうしたスタンスが大きな感染予防につながる」と話していました。

横綱 白鵬「横綱の責任感じる」

大相撲7月場所が観客を入れて開催することが決まったことを受けて、横綱 白鵬は「春場所でお客さんがいなかったときは寂しいものがあったので、今回お客さんが入るということはうれしいし、よし、頑張ろうとなりますね」と話しました。

そのうえで、7月場所に向けて「横綱として存在感を示さないといけないし、こういう時期に横綱でいないといけないという責任感を感じています」と意欲を見せていました。

新大関 朝乃山「感染に気をつけ応援を」

大相撲の7月場所が観客を入れて開催することが決まったことを受けて、新大関 朝乃山は「1人でもお客さんが入ってくれると自分たちもうれしい。春場所は無観客で寂しかったので、感染に気をつけて応援に来てほしい」と心境を話したうえで、「力士にも感染者が出て亡くなった人もいる。より一層、警戒しないといけない。今まで以上に外出の自粛や手洗いうがいを徹底したい」と話していました。

新大関の場所に向けては、「自分の体を生かした前に出る相撲を取り続け、元気を与えられるようにしたい」と力強く話していました。

ガイドラインの詳細

日本相撲協会が発表したガイドラインは、
日常生活での力士たちの過ごし方から、本場所を開催する場合に関係者や観客が気をつけるべきことまで、非常に多岐にわたっています。

まず力士や親方など相撲協会員の日常生活の中での対策です。
共同生活を行う相撲部屋では感染が広がるリスクがあり、特に対策が必要だとしていて、
▽室内でもなるべくマスクを着用して、
▽人との距離を1メートル以上空けることを目指し、
▽寝るときは頭の方向が互い違いになるようにすることや
▽1、2時間ごとに空気の入れ替えを行うことなどを求めています。

また、
▽机やいす、ドアノブや取っ手、テレビなどの家具やスマートフォンなどの持ち物を毎日アルコール消毒することや
▽トイレや風呂場も1日に数回、消毒すること、
▽朝と夜の2回体温を測って体調を記録し、1週間ごとに協会に提出することなども盛り込まれています。

さらに稽古を行う際には、
▽稽古前に必ず体調の管理表に記録することや
▽土俵やてっぽうに使う柱、上がり座敷などを消毒することとしています。

次に相撲協会員が移動を行う際の対策です。
▽マスクをつけて会話を最小限にすることや
▽移動の前後には、手洗いと消毒、うがいなどを徹底することを求めています。

さらに
▽買い出しなどは、最少人数で数日に1回に減らし、
▽往復の途中はどこへも立ち寄らないことや
▽公共交通機関はなるべく使わず利用する際は混雑する時間帯を避けることなどを求めています。

本場所を開催する際の対策です。

国技館などの会場については、
▽ドアを可能なかぎり開放して風通しをよくするほか、支度部屋の造りを大幅に変更し、仕切りのための板を設置して力士が1人ずつ待機できるようにすることや、
▽幕内力士と十両力士にはそれぞれ付け人がいて密集するおそれがあることから、十両の支度部屋を国技館の敷地内にある「相撲教習所」に設けるとしています。

力士たちに対しては、
▽体温が朝と夜の検温で37度以上が2日続いた場合、もしくは、朝の検温で1回でも37度5分以上だった場合は、休場してPCR検査を受けることとしています。

ただ、ほうか織炎など発熱の原因がはっきりしている場合は、PCR検査は受けなくてもよいとしています。

また、
▽支度部屋でもマスクを着用し花道に向かう際に外すことや、
▽風呂場では浴槽につからずシャワーのみとすること、
▽床山が髪を結うときは、床山と力士の両方がマスクをつけて会話を最小限とするよう求めています。
▽ファンに対しての握手やサイン、一緒に写真を撮るなどの行為も行わないことを求めています。

観客に対しても厳重な対策を求めています。
▽マスクの着用や消毒の徹底、
▽入館前に体温を測定し、37度5分以上の場合は入場をやめることや
▽大声での声援や花道などで力士に触れる行為を行わないことなどを盛り込んでいるほか、
▽酒類の販売は行わず、
▽売店もシートで客と店員を隔てるなどの対策も実施されます。