埼玉県 感染症対策が不十分な接待伴う飲食店 「利用を避けて」

埼玉県 感染症対策が不十分な接待伴う飲食店 「利用を避けて」
埼玉県内で、接待を伴う飲食店を中心に新型コロナウイルスへの感染者の確認が相次いでいることを受け、埼玉県は、ウイルス対策の特別措置法に基づいて、感染症対策が十分とられていない接待を伴う飲食店については、県内外を問わず利用を避けるよう県民に協力を求める要請を行うことを決めました。
埼玉県は8日、新型コロナウイルスに関する対策本部会議を開き、6日までの1週間に感染が確認された133人のうち、接待を伴うキャバクラ店などの飲食店の従業員や利用客が27%となっていることが報告されました。

このため会議では、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づいて、県民に対し、接待を伴う飲食店のうち、感染症対策が十分とられていない店については、県内外を問わず利用を避けるよう県民に協力を求める要請を行うことを決めました。

また、飲食店に対しては、換気や消毒を十分に行うなど、改めて感染対策の徹底を要請するとしています。

埼玉県によりますと、5月に緊急事態宣言が解除されて以降、特別措置法に基づいた要請が行われるのは、関東地方の都県では初めてだということです。

会議で、大野知事は県民に向けて「非常に憂慮すべき状況だ。感染の原因がある程度把握できているので、緊急事態宣言下で行ったような全体的な自粛要請ではなく、焦点を当てて対策を講じることとした。県民及び事業者の皆様には協力頂くよう強くお願いする」と呼びかけました。

感染予防対策をとっている店 独自認定する制度スタート

さいたま市大宮区の繁華街では2つのキャバクラ店で複数の従業員などが新型コロナウイルスに感染していたことが確認され、この繁華街の店などで作る団体はフェースシールドを着用して接客するなど、十分に感染予防対策をとっている店を独自に認定する制度をスタートさせました。

『ナンギン』の通称で親しまれている、さいたま市大宮区の繁華街「大宮南銀座」では、先月27日以降2つのキャバクラ店で従業員や利用客の感染が相次ぎ、7日までにあわせて26人に上っています。

これを受け、繁華街の飲食店などで作る「商店会」は、
▼消毒を徹底していること、
▼入店時に客に連絡先や体調を確認していること、
▼またマスクやフェースガードを着用していることなど、12のチェック項目を満たす店舗を「感染予防対策実施店」として独自に認定する取り組みを始めました。
認定証にあたる「ステッカー」が貼られたラウンジでは、
▼客席ごとに「仕切り板」が置かれ、
▼グラスに「コースター」を乗せて飛まつが入りこまない対策もとっていました。

フェースシールドとマスク姿で接客していた従業員の穂乃加さんは、「万全に対策をしているので安心して来ていただきたい」と話していました。

訪れた利用客は「対策がしっかりしていると取引先も安心して連れてこられる」と話していました。

商店会では、今週から対策を行っている店に順次、認定を行う予定で、山岸平二副会長は「“ナンギン”全体で新型コロナウイルスと戦わないといけない。安全対策を施した店にぜひ来て欲しい」と話していました。

大野知事 新要請の背景「医療体制に限りがある」

埼玉県によりますと、6日までの1週間に県内で新型コロナウイルスへの感染が確認された133人のうち、20代と30代の若い世代が92人と69%を占めています。

症状が無いか軽い人がほとんどで重症の人は、入院した118人のうち3人だということです。
また、感染経路については、
▽埼玉県内のキャバクラ店など接待を伴う飲食店で感染した人が27%、
▽東京都内で感染したとみられる人が20%で、
▽感染経路がわからない人は27%となっています。

埼玉県は、人口10万人あたりの一般病床の数が全国で最も少ないほか、人口あたりの医師などの数も首都圏の都県で最も少ないため、いわゆる「第2波」に備え、どのように医療体制を確保するか課題となっています。
大野知事は8日、NHKのインタビューに応じ、「医療体制に限りがある埼玉県としては、1日も早く感染拡大を防ぐため、緊急事態宣言が解除されてから初めて、法律に基づいて新たな要請を行うことになった」と述べて、今回の要請の背景の1つに、医療体制の現状があることを明らかにしました。

そのうえで、「かつての全面的な自粛要請は難しいかもしれないが、県内の感染者の4分の1が『夜の街』由来でもあり、しっかり抑えれば感染者は論理的には減る。今のうちに小さいところで止めておくことが大切だ」と述べました。