国連事務総長 “新型コロナで紛争地和平に悪影響”

国連事務総長 “新型コロナで紛争地和平に悪影響”
国連のグテーレス事務総長は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で紛争地では和平に向けた協議が延期されたり、武装勢力が攻撃を活発化させたりしているとして、国際社会に関与を弱めないよう訴えました。
国連の安全保障理事会は2日、新型コロナウイルスの感染拡大が平和と安全に及ぼす影響について話し合う会合をオンラインで開きました。

この中で、グテーレス事務総長は、南スーダンでは内戦後の和平プロセスが延期されているほか、ソマリアでは、治安機関が感染対策に従事している間に、イスラム過激派組織「アッシャバーブ」がテロ攻撃を繰り返していると指摘しました。

そのうえで、「国際社会が目をそらしている間にぜい弱な平和プロセスが頓挫しかねない」と述べて、国際社会が関与を弱めないよう訴えました。

また、「紛争の調停は相手の真意や場の空気をよむ個人の努力に支えられている。オンラインの協議では信頼関係を築くのは容易でない」と述べて、新型コロナウイルスの影響で国連の調停活動がこれまで以上に難しくなっていると危機感を示しました。

さらにグテーレス事務総長は「今回の感染拡大は生物兵器によるテロ攻撃のリスクを浮き彫りにする。ウイルスの毒性を強める操作が行われたり、拡散されたりすれば、十分対応できないかもしれない」と述べて、ウイルスが兵器として悪用されないよう、方策を考える必要があるという認識を示しました。