ロシア憲法改正 きょう全国投票 プーチン大統領の続投可能に

ロシア憲法改正 きょう全国投票 プーチン大統領の続投可能に
k10012490511_202007010910_202007011733.mp4
ロシアでは、1日、プーチン大統領が、現在の任期が切れる2024年以降も続投することを可能にする憲法改正の是非を問う全国投票が行われます。
ロシアの憲法改正は、ことし1月、プーチン大統領が国の権力構造を変えるとして突然提案し、議会の権限強化や領土の割譲禁止、社会福祉の向上などの改正案に、現職大統領の続投を可能にする内容も盛り込まれました。

これによって、プーチン大統領は4年後に任期が切れたあとも最長で2期12年、83歳になる2036年まで続投することが可能になります。

憲法改正の是非を問う全国投票は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ことし4月から延期されていましたが、1日、極東地域から順次行われます。

プーチン大統領は、これを前に30日、第2次世界大戦の激戦地の1つとなった北西部トベリ州の町を訪れて演説し、「私たちは教育や医療が充実するなど、住みたいと思う国のために投票するのだ」と述べ、国民に支持を呼びかけました。

プーチン政権は、先月24日にナチス・ドイツに対する戦勝記念の軍事パレードを実施するなど国民の愛国心に訴えながら、幅広い支持を得て憲法改正を実現させたい考えです。

投票は、日本時間の2日午前3時まで行われ、即日開票されて、2日朝には大勢が判明する見通しです。

ロシア憲法改正案の内容は

ロシアの憲法改正案では、大統領の任期を2期に制限するものの、「現職の大統領については過去または現在の任期を考慮しない」という内容が加えられ、プーチン大統領の続投に道を開くことになります。

また、議会下院に対して、一部の閣僚人事に関与する新たな権限を持たせ、大統領の諮問機関だった国家評議会を、国の基本方針を決める組織に格上げするなど、ロシアの権力構造を変えるものとなっています。

さらに、第2次世界大戦で勝利した歴史的な意義をおとしめることや自国領土の割譲を認めないとするなど、国民の愛国心に訴える内容も盛り込まれました。

このほか、結婚は男性と女性が行うものと明記されたほか、物価の上昇を考慮して、毎年、年金の受給額を見直すことも盛り込まれ、プーチン政権は、伝統的な価値観を守り、国民の生活水準を向上させるものだとして、国民に支持するよう繰り返し呼びかけています。

議会下院によりますと、改正されるのは、全部で200か所余りにのぼるということですが、野党勢力は、一括して賛否を問うことに対して「プーチン大統領を終身大統領にするという本当の目的を隠そうとしている」と批判しています。

憲法改正 プーチン大統領のねらい

プーチン大統領にとっては、憲法改正によってみずからの任期が切れる2024年以降も大統領選挙に立候補することに道が開かれ、最長で2期12年、2036年までの続投が可能になります。

プーチン大統領は、6月下旬に放送された国営テレビのインタビューで「憲法が改正されれば大統領選挙に立候補する可能性を排除しない」と述べました。

また、「もし憲法改正が行われなければ、政府のさまざまなレベルでみんな目をきょろきょろさせて後継者探しを始めるだろう」とも述べ、現行の憲法にしたがって退任することになれば、後継者をめぐって政治の安定が損なわれるとする考えを示しました。

プーチン大統領としては、続投できるという選択肢を得ることで、後継者探しが始まって求心力が低下するのを防ぎ、任期満了後の国家運営の在り方をみずから決めるため、最大限、権力を維持し続けるねらいがあるとみられます。

また、憲法改正案では、領土の保全、それに第2次世界大戦の戦勝の歴史を守ることや、国際社会でのロシアの影響力を強化することなど、国民の愛国心に訴える内容も盛り込まれています。

ロシアの歴史や伝統、価値観などにもとづいた自身の国家理念を反映させた憲法を政治的な遺産として継承し、偉大な指導者としてロシアの歴史に名を残したい思惑もあるとみられています。

日ロ交渉への影響は

ロシアの憲法改正案には、「領土の割譲やそれを呼びかける行為は認められない」として領土の割譲を禁止する項目があらたに盛り込まれました。

一方で、その項目には「近隣諸国との国境線の画定や再画定については除外する」とも記され、プーチン大統領としては日本との平和条約交渉を続ける姿勢を示したものとみられています。

ただ、プーチン大統領は、憲法改正の全国投票を前に6月、「クリル諸島などの祖国は家族であり、家だ」と述べ、北方領土と千島列島は自国の領土だと強調したほか、国営テレビも北方領土に言及して「憲法が国境をしっかり守ってくれる」と支持を呼びかけるPR動画を放送しました。

プーチン政権は、大統領の続投を可能にする憲法改正への国民の幅広い支持を得るため、自国の領土と第2次世界大戦の戦勝の歴史を守っていくと強調し、国民の愛国心に訴えかける動きを強めています。

北方領土を事実上管轄するサハリン州のリマレンコ知事は6月、ロシアの記念日に合わせて択捉島で住民たちと巨大なロシア国旗をたなびかせ、「私たちはロシアの領土が割譲できないことを訴える」と強調しました。

このあともリマレンコ知事は、北方領土問題について「日本との関係の議題から消えること、これ以上議論されないことを望む」と述べて、憲法改正への支持を呼びかけています。

憲法改正に向けてロシア国内では、北方領土の引き渡しに反対する世論が一段と高まっていて、北方領土問題を含む平和条約交渉を続ける日本にとって一層厳しい状況となっています。