「香港国家安全維持法」昨夜公布・即時施行 最高刑は無期懲役

「香港国家安全維持法」昨夜公布・即時施行 最高刑は無期懲役
香港での反政府的な動きを取り締まる、中国の「香港国家安全維持法」が成立し、香港政府は、中国への返還から23年となるのを前に、6月30日夜、施行しました。国の分裂や政権の転覆など、国家の安全に危害を加える犯罪行為の最高刑は無期懲役となっています。
中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会が6月30日、北京で開かれ、香港での反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が全会一致で可決・成立しました。

この法律について、香港政府は中国への返還から23年の記念日となる7月1日を前に、現地時間の6月30日午後11時に公布し、即時に施行したと発表しました。

法律の施行と同時に中国国営の新華社通信が公表した条文では、国家の安全に危害を加える犯罪行為として、国の分裂、政権の転覆、テロ活動、それに外国の勢力と結託して、国家の安全に危害を加える行為の4種類を規定しています。

いずれも最高刑は無期懲役で、香港政府が法律を適用する際は終身刑になるとしています。

また、中国政府は、香港に新たに「国家安全維持公署」という治安機関を設けて取締りなどにあたり、外国勢力が介入する複雑な事案などでは管轄権を行使し、中国本土の法律に基づいて捜査や起訴、裁判が行われるとしています。

この法律の施行によって、香港では、中国共産党や政府に批判的な政治活動や言論活動は、事実上、封じ込められることになります。

香港は中国に返還されて以来、「一国二制度」のもと、高度な自治が認められてきましたが、今回の法律はこの制度を完全に形骸化させるとして懸念が広がっています。

「香港国家安全維持法」とは…最高刑は終身刑

「香港国家安全維持法」は6章66条からなり、国家の安全に危害を加える犯罪行為として、国の分裂、政権の転覆、テロ活動、それに外国の勢力と結託して、国家の安全に危害を加える行為の4種類を規定し、いずれも最高刑は終身刑となっています。

また、「香港でこの法律に規定される犯罪を犯した人は、いずれもこの法律が適用される」として国籍にかかわらず、この法律が適用されるとしています。

さらに、「香港の永住者でない人が、香港以外で行った犯罪にもこの法律が適用される」と規定していて、外国人が香港以外で行った行為にも適用される可能性があります。

法律では香港の警察は、国家の安全に危害を及ぼす疑いがもたれる人物に対しては、通信の傍受や秘密裏に監視を行うことができるとしています。

裁判については、公開されるとしていますが、国家機密などに関わる場合は審理の一部またはすべてを非公開にすることができるということです。

一方、中国政府は、香港に「国家安全維持公署」という治安機関を新たに設け、香港政府を監督・指導するとともに、情報収集や分析、それに事件の処理などを行うとしています。

「国家安全維持公署」は、外国勢力が介入する複雑な事案や、香港政府が法律を執行することができないなどの重大な状況では国家の安全に危害を加える犯罪について管轄権を行使するとしていて、中国政府の香港での管轄権の行使を認めています。

その場合は、中国の刑事訴訟法などの法律に基づいて、捜査や起訴などの刑事手続きが行われ、中国の最高裁判所にあたる最高人民法院が指定する裁判所で裁判が行われるとしています。

さらに、「国家安全維持公署」は、香港に駐在する外国と国際組織の機関やNGO、報道機関に対する管理を強化するとしています。

香港のほかの法律と矛盾する場合には、香港国家安全維持法の規定を適用し、法律の解釈権は、全人代の常務委員会が持つとしています。

アメリカ・ホワイトハウス「直ちに撤回するよう求める」

「香港国家安全維持法」が成立したことについて、アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議は30日、声明を出し、「中国は香港を『一国一制度』として扱っており、アメリカも同様の扱いをしなければならない」と反発しています。

そのうえで「アメリカは香港の自由や自治を抑圧した者に対して強力な措置をとり続ける。中国に対し、直ちに撤回するよう求める」として、対抗措置も辞さない構えを示し、強くけん制しました。

香港国家安全維持法をめぐってアメリカは、これまで中国の当局者に対するビザの発給制限のほか、前日の29日には香港に認めてきた優遇措置の一部停止を発表していて、さらなる対抗措置を検討しているとみられます。

EU ミシェル大統領「有害な影響をもたらす」

「香港国家安全維持法」が成立したことについて、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領は30日の記者会見で「この法律は香港の高度な自治を損ない、司法の独立と法の支配にとって有害な影響をもたらす」と述べ、遺憾の意を表明しました。

また、フォンデアライエン委員長は「香港の人たちの自由は完全に守られなければならない。今回の法律は香港のビジネスの信頼性や中国の評判にマイナスの結果をもたらすだろう」と述べ、中国を強く非難しました。

国連人権理事会 日本など27か国が共同声明

スイスのジュネーブで30日、開かれた国連の人権理事会では、日本やイギリス、フランス、ドイツなど27か国が共同声明を発表しました。

声明では「香港国家安全維持法」の施行について「『一国二制度』を侵害し、人々の人権に明らかに影響する」と深い懸念を示したうえで、「中国政府と香港政府に対して法律の施行を再考し、香港の人々や機関、司法当局とともに長年、守られてきた権利や自由が侵害されないよう取り組むよう求める」としています。