キャッシュレス決済のポイント還元制度 30日で終了

キャッシュレス決済のポイント還元制度 30日で終了
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消費税率の引き上げに伴って去年10月から行われてきたキャッシュレス決済のポイント還元制度は、30日で終了します。
キャッシュレス決済のポイント還元制度は、中小の店舗でクレジットカードやスマートフォンのQRコードなどのキャッシュレスで支払うと、最大5%が還元されるものです。

消費税率引き上げ後の消費の下支えや、キャッシュレス決済の普及を目的に実施されました。

経済産業省によりますと、当初の想定の2倍を超える115万店が参加し、利用者への還元額は4月中旬までに3530億円に上っています。

参加店舗のおよそ3割は、キャッシュレスを今回初めて導入したか、対応する種類を増やしたということです。

また、去年、支出に占めるキャッシュレスの比率が伸び、26.7%になるなど、経済産業省は普及に一定の効果はあったとしています。

しかし、期間中は店舗側が負担する決済手数料が3.25%に抑えられていますが、終了後は5%から7%程度に引き上げられる可能性があり、収益を圧迫する要因となるため中小の店舗で定着するか懸念も出ています。

政府は、消費の下支えなどを目的に、ことし9月から来年3月までマイナンバーカードを持っている人を対象として、キャッシュレス決済で最大5000円分のポイントが還元される制度を実施します。

「効果あった」は4割

今回のキャッシュレス決済のポイント還元制度について経済産業省が行ったアンケート調査で、参加した店舗に売り上げの確保に効果があったか聞いたところ、「あった」が4割、「なかった」が6割となり、効果に対する受け止めが分かれる形となりました。

経済産業省はことし5月19日から25日にかけて全国の店舗を対象にインターネット上で調査を行い、およそ6600の店舗から回答がありました。

このなかで今回の制度に参加した店舗のうち売り上げの確保に効果があったか聞いたところ、
「非常に効果があった」と答えたのが6%、
「効果があった」が34.1%で、合わせて40.1%でした。

これに対して
「効果がなかった」が21.7%、
「あまり効果がなかった」が38.1%で、合わせて59.8%に上りました。

売り上げへの効果に対する見方が分かれた形ですが、事業に参加した店舗の91%は、制度が終わってもキャッシュレスの支払い手段を提供し続けると答えました。

これについて経済産業省は、「業務の効率化などで一定程度の効果はあったと考えている。消費者の信頼を得て、便利なサービスと認識してもらえるよう、引き続き取り組んでいきたい」と話しています。

スーパーの半数近くが拡大の意向も

30日に終了するキャッシュレス決済のポイント還元制度で、制度に参加した食品スーパーの半数近くが、終了後もキャッシュレス決済を増やしたい意向であることが業界団体の調査で分かりました。

この調査は、全国スーパーマーケット協会が今月中旬、食品スーパー966社を対象に行い、301社から回答を得ました。

まず、ポイント還元制度に参加したスーパーに、制度が終わったあとのキャッシュレス決済の扱いを尋ねたところ、
▽増やすと言う回答が48.5%、
▽現状維持が32.3%、
▽減らすという回答が16.2%でした。

キャッシュレス決済のメリットを複数回答で尋ねたところ、
▽会計時間の短縮が73.9%、
▽現金管理の負担軽減が50.2%、
▽新たな客層の発掘が44.1%、などとなっています。

一方で、キャッシュレス決済の割合を減らしたいと回答したスーパーからは、「手数料が重く利益が残らない」とか、「すべてキャッシュレスだと効率はいいが、中途半端だと逆に業務が増えるだけだ」という声も寄せられました。

全国スーパーマーケット協会の増井徳太郎副会長は、「キャッシュレス決済は顧客との接触機会が減り、新型コロナウイルスの感染対策にもつながる。制度が終わったあとも国は制度の普及を後押ししてほしい」と話しています。

菅官房長官「全国利用できる環境を整備」

菅官房長官は、午後の記者会見で「参加店舗は、最終的に115万店にまで拡大し、事業者からは、売上確保や顧客獲得、それに業務効率化につながったという声をいただいている。ポイント還元事業は一定の成果を上げたものと思う」と述べました。

そのうえで、「中小店舗からは、本事業終了後の手数料や入金サイクルなどを不安視する声があることも事実だ。このため、終了後も、手数料の継続的な見える化を含め、キャッシュレス決済の中小店舗へのさらなる普及促進に取り組むなど、全国津々浦々でキャッシュレス決済が利用できる環境をしっかりと整備していきたい」と述べました。

専門家「決済手数料など抜本的見直しを」

専門家は、キャッシュレス決済が定着するには、店側の負担につながっている決済手数料などの障壁を抜本的に見直す必要があると指摘しています。

野村資本市場研究所の淵田康之シニアフェローは「ポイント還元制度は、消費者と多くの店に対してキャッシュレス決済の重要性を意識させる大きなきっかけとなり、想定を上回る政策効果があった」と評価しました。

そのうえで、キャッシュレス決済が定着するための課題として、「店側が決済事業者に支払う手数料、決済端末の導入コスト、売上金が店の口座に支払われるまでにかかる時間という3つの障壁がある。こうした問題を解決しなければキャッシュレス決済が拡大する勢いがそがれる可能性がある」と指摘しました。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に世界的にキャッシュレス決済をより重視する流れが強まっているとして、「これまでは、キャッシュレスはやりたい人がやればいいというものだったが、これからはだれもが安く使える生活インフラにならなければならない」と述べ、海外と比べ割高とされる決済手数料などの在り方を抜本的に見直すことが必要だと指摘しました。

手数料引き上げ 継続を悩む店も

制度の終了後、店側が負担する手数料が引き上げられるため、いったん導入したキャッシュレス決済を継続するかどうか悩んでいる店舗もあります。

埼玉県上尾市にある平井善顕さん(42)のバーでは去年10月のポイント還元制度のスタートに合わせて、キャッシュレス決済を導入し、今ではキャッシュレスが売り上げのおよそ4割を占めるまでになりました。

ところが、導入した決済事業者2社のうち1社が、来月から決済手数料を今より2%余り引き上げることになりました。

新型コロナウイルスの影響で、およそ1か月半休業していたこともあり、手数料負担の増加は重く、継続する場合は商品の値上げも検討せざるをえないということで、継続するかどうか悩んでいます。

「Dining & Bar Crew」のオーナーの平井さんは「休業からようやく再開し、これからという時期に2%分の手数料がさらに上乗せされるのは非常に痛い。一方で、商品の値上げにもお客様に対して、葛藤の気持ちがある」と話しています。