新型コロナで難民増える可能性 国連難民高等弁務官

新型コロナで難民増える可能性 国連難民高等弁務官
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のトップは、紛争や迫害などで過去最多となっている難民や国内避難民の数が、新型コロナウイルスの影響でさらに増加するおそれがあるとして各国に支援を求めました。
UNHCRは18日、世界の難民や国内避難民の数が7950万人と、過去最多になったとする報告書を公表し、これに合わせてトップを務めるグランディ難民高等弁務官がNHKのインタビューに応じました。

この中でグランディ高等弁務官は、内戦が続く中東シリアで、難民や国内避難民の数が1340万人と、世界でもっとも多くなっていることについて「シリア難民の多くを受け入れている隣国のトルコやレバノンなどを支援する必要があるが、事態が長期化し、財源の確保がより難しくなっている」と指摘しました。

さらに世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスの影響についても強い懸念を示しました。このうち、政治的な混乱で490万人が国外に逃れるなどした南米ベネズエラについて「周辺国に逃れても感染拡大で収入を失い、ベネズエラに戻らざるを得なくなった人もいる。それは問題の解決につながらない」として支援を継続していく必要性を強調しました。

そのうえで、紛争や混乱が続く国ではウイルスの影響で経済状況が悪化して貧しい人がさらに困窮し、安定した国を目指す動きが加速する可能性があるとして「多くの国が国境を封鎖し、異常な時期ではあるが、難民を受け入れるシステムを壊さないでほしい」と述べ、各国は柔軟に難民を受け入れ続けてほしいと訴えました。