米軍普天間基地の辺野古への移設工事再開 近くでは抗議活動も

米軍普天間基地の辺野古への移設工事再開 近くでは抗議活動も
沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設工事をめぐり、沖縄防衛局は新型コロナウイルスの影響で2か月近く中断していた工事を12日再開しました。一方、埋め立て予定地の近くでは、工事に反対する人たちが集まって抗議活動を行い、工事の中止を訴えました。
普天間基地の移設工事をめぐっては、ことし4月に工事関係者の1人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、沖縄防衛局が工事を中断していました。

防衛局は沖縄県内で1か月以上、新規の感染者がいないことなどから、12日、およそ2か月ぶりに工事を再開しました。

このうち、護岸で囲った埋め立て予定区域ではダンプカーやブルドーザーを使って次々と土砂を海面に投入していきました。

一方、埋め立て予定区域に隣接するアメリカ軍基地「キャンプ・シュワブ」のゲート前では、工事に反対する人たちおよそ40人が抗議活動を行い、工事の中止を訴えました。

防衛局は当初、ことし夏までに護岸で囲った区域を土砂で埋めて「陸地化」するとしてきました。

しかし、今回の中断や悪天候により土砂で埋めたのは区域内の4割ほどにとどまっていて、計画に遅れが出るのは避けられない状況となっています。

玉城知事「大変遺憾」

沖縄県の玉城知事は記者会見で「工事の再開は大変遺憾だ。沖縄県議会議員選挙でも辺野古新基地建設に関する賛否は明確な争点となっていたが、その結果、反対する候補者が過半数を占めたことで、改めて反対の民意が明確になった。民意は揺るぎないものと受け止めている」と述べました。

安倍首相 「1日も早い移設達成を」

安倍総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「先の県議会議員選挙では自民党の議席をだいぶ増やすことができた。普天間基地の固定化は断じて避けなければならず、世界でも大変危険と言われている普天間基地の移設を1日も早く達成していきたい」と述べました。

河野防衛相「沖縄県民と目指す方向は同じ」

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設工事が再開したことについて、河野防衛大臣は記者会見で「沖縄防衛局が受注者やアメリカ軍と調整をして再開した。普天間飛行場の危険性の除去は沖縄県民の皆様と目指している方向は同じで、しっかりと対応できるように努めていきたい」と述べました。

また記者団が「沖縄県議会議員選挙の期間中に再開しなかったのは、『争点隠し』という指摘も一部にある」とただしたのに対し、河野大臣は「指摘はあたらない」と述べました。

菅官房長官「現場の調整状況踏まえ判断」

菅官房長官は記者会見で「工事の再開は、沖縄防衛局が新型コロナウイルス感染拡大防止対策について、受注者や米軍との間で十分に調整を行い、準備が整ったことから工事再開を判断したと承知している。沖縄県議会議員選挙の日程などとは全く関係なく、現場の調整状況を踏まえて沖縄防衛局で判断したと承知している」と述べました。

また、埋め立て予定地にある軟弱地盤の改良に必要な設計変更を沖縄県に申請していることについて、「沖縄防衛局が有識者の助言などを得つつ、十分な検討を行ってきたものであり、沖縄県において、適切に対応いただけると考えている。今後とも、地元の皆様のご理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現して基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでいく」と述べました。

共産 小池書記局長「厳しく糾弾 断固抗議」

共産党の小池書記局長は記者会見で「先の沖縄県議会議員選挙で示された『新基地建設に反対』の民意を踏みにじるもので、厳しく糾弾し、断固抗議したい。軟弱地盤の問題もあり、政治的にも技術的にも完全に破綻している。辺野古にこだわり続けるかぎり、普天間の危険性は除去できない」と述べました。