きょうからステップ3で休業要請緩和 19日に事実上全面解除へ

きょうからステップ3で休業要請緩和 19日に事実上全面解除へ
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東京都は、新型コロナウイルスの対策本部会議で、感染拡大に警戒を呼びかける「東京アラート」を解除したうえで、12日午前0時に休業要請などの緩和の段階を「ステップ3」に進めることを決めました。また、今月19日から接待を伴う飲食店やライブハウスが営業を再開できるようにすることも決め、これにより休業要請などは、事実上、全面的に解除されることになりました。
東京都は11日午後8時45分から、小池知事や幹部職員が出席して新型コロナウイルスの対策本部会議を開きました。

この中で、11日、都内で新たに感染が確認されたのが22人だった結果、都が設定した感染の状況を示す3つの指標すべてで、「東京アラート」を解除する場合の目安の数値を下回ったことが報告されました。

そのうえで、医療体制も十分確保できているなどとして、今月2日から出していた「東京アラート」を解除し、休業要請などの緩和の段階を今の「ステップ2」から12日午前0時に「ステップ3」に進めることを決めました。
これにより、居酒屋などの飲食店の営業も翌日の午前0時まで可能になるほか、カラオケ店なども営業できるようになります。

さらに、対応が決まっていなかった接待を伴う飲食店やライブハウスを新たに「ステップ3」に含め、今月19日から営業を再開できるようにすることも決めました。

また、飲食店の営業時間短縮の要請も今月18日で終了することになり、翌19日からは休業要請などが事実上、全面的に解除されることになります。

このほか、11日の会議では、感染の第2波に備えて「検査・医療体制の構築」や「『新しい日常』を実践する経済社会活動への支援」を柱とした、都の新たな対応方針も確認しました。

小池知事「ウィズコロナという新ステージに」

東京都の小池知事は対策本部会議で「『ステップ3』に移行することによって、休業要請などはほぼ終了する。経済社会活動が全面的に営まれる新たな局面に入っていく。一方で、有効なワクチンの開発・普及まで相当の時間を要することを踏まえると、今後、われわれは、新型コロナウイルスとともに生きる『ウィズコロナ』という新たなステージに立って、第2波に備えた適切な感染拡大の防止策を講じながら、経済社会活動や都民生活を営んでいく必要がある」と述べました。

そのうえで、「都としてもモニタリングをしっかりと継続し、必要な警戒をする。感染拡大防止と経済社会活動との両立を図っていく」と述べました。

また、「東京アラート」の解除に伴い、レインボーブリッジや都庁舎のライトアップを、11日午後11時に赤からレインボーに変更することを明らかにしました。

判断の背景には

東京都は、「東京アラート」の解除に続いて休業要請などの緩和の段階を「ステップ3」に進める背景には、感染が一定程度抑え込めている今が、判断するには望ましいと考えたことがあります。

都内の感染の確認は11日は22人でしたが、今週に入ってからは10人台で推移しているほか、都内の入院患者も300人を下回るなど、医療体制にも余裕が出てきていると都は見ています。

さらに、11日木曜日は、医師などの専門家にモニタリングの数値の評価をしてもらう審議会がある日で、感染状況が抑えられているとする専門家の意見を得ることができないか調整を進めていました。

第2波に備えた対応は

「東京アラート」を解除したうえで12日、休業要請などの緩和の段階を「ステップ3」に移すことになったことを受けて、東京都は第2波に備えるための新たな対応を進める方針です。

その柱の一つが「検査・医療体制の構築」です。

PCR検査の処理能力を1日当たり1万件確保するなど、検査体制を拡充するとともに、外部の専門家と連携する検討チームを都庁内に設置して、感染状況を迅速に把握することにしています。

また、重症度などに応じた医療提供体制を確保するため、今月中に20の病院を新たに重点医療機関に指定する予定です。

さらに、感染の報告が相次いだ接待を伴う飲食店などに対し、官民連携で受診を勧めるほか、相談体制の確保を推進するとしています。

東京都は今月中に第2波への対応や体制整備に関する方針をまとめ、来月には対策の全体像を明らかにすることにしています。

一方、もう一つの柱が「『新しい日常』を実践する経済社会活動への支援」です。

具体的には、事業者が業態を転換するための支援策や、第2の就職氷河期を生まないための就業支援や職業訓練の強化などを検討することにしています。

また、テレワークなどを進めるための公労使会議や新型コロナウイルスの影響を踏まえた産業振興を検討する有識者会議を、いずれも今月中に開催する方針です。

専門家「引き続き『3密』避けて」

「東京アラート」の解除について日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は、「感染の状況を示す3つの指標すべてで目安を下回っており、確認される感染者数も1日20人前後で落ち着いている。解除を検討するタイミングではあったと思う」と述べ、解除はある程度、妥当だという認識を示しました。

一方で、休業要請などの緩和の段階を「ステップ3」に進めることについては、「状況は落ち着いているとはいえ感染経路がわからない人が一定程度いる。市中に確実にウイルスが潜んでいて、水面下で広がっている可能性があり、あっという間に感染者が増えるおそれがある。これまでどおり、『3密』の場をなるべく避けて、引き続き感染対策を意識した生活を送る必要がある」と話しています。

また、東京アラートの在り方について、「感染状況が地域ごとに異なるため、地域の特性を踏まえたアラートを設けて、警戒を促すのは方向性としては間違っていないと思う。ただ一方で、アラートを出す際と解除の際の基準やタイミングをより厳密に、明確にしないと、今後、効果が薄れる可能性もある。初めての経験で非常に難しい判断だったとは思うが、今回のケースを分析してより効果的なアラートの出し方について検証する必要がある」と指摘しました。

経済再生相「一定のレベルまで落ち着いてきた」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「緊急事態宣言の解除後も新規感染者数が30人台になったこともあり、緊張感を持って見てきたが、一定のレベルまで落ち着いてきた。都民の皆さんの努力や自粛の成果が現れてきている」と述べました。

そのうえで、西村大臣は、都道府県をまたぐ移動について「専門家とも議論を重ねているが状況をしっかり見極めたいと思っており、現時点で方針を変える予定はない」と述べ、今月18日までは、最後まで宣言が継続された東京など首都圏の1都3県や、北海道との間の移動を自粛するよう、引き続き求める考えを示しました。

バーは客足回復を期待

東京都が休業要請などを緩和して「ステップ3」に進めることを決め、これまで午後10時までしか営業できなかった飲食店が12日から翌日の午前0時まで営業できるようになったことを受けて、飲食店の現場からは客足の回復を期待する声が聞かれました。

このうち、最大で100人が入れる東京・新橋のバーは、近くのレストランや居酒屋などで食事をとったあとに来店する客が多いため、以前は午後9時ごろから閉店時間の翌日午前1時にかけて店がにぎわっていました。

しかし、緊急事態宣言の解除を受けて今月1日に営業を再開したあとも、都の要請で営業や酒類の提供が午後10時までに限られていたため、10人足らずしか客が入らない日もあったということです。

この店では、営業再開後は客が入店する際に検温とアルコール消毒を必ず行うなど感染防止の徹底を図っていて、今後の客足の回復に期待を寄せています。

店長の上野隆祐さんは「これまでは午後10時までしか営業できずせっかく来店したお客さんに帰ってもらうこともあったので、午前0時まで営業できるのはうれしいし、ホッとしています。第2波が来るおそれもあり複雑ですが、うちの店は以前から注文や会計はお客さん自身にスマートフォンでやってもらう方式をとっていて店員との接触は最低限に抑えられているので、安心してお酒を楽しんでもらえると思います」と話していました。