予備費10兆円「迅速かつ十分に対応のため」首相 衆院予算委

予備費10兆円「迅速かつ十分に対応のため」首相 衆院予算委
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新型コロナウイルス対策の第2次補正予算案に計上された10兆円の予備費について、衆議院予算委員会で野党側が「財政民主主義に反した行為だ」として、積算の根拠をただしたのに対し、安倍総理大臣は感染の再拡大も念頭に、あらゆる事態に、迅速かつ十分に対応できるようにするためのものだと説明しました。

自民 坂本氏 10万円給付 自治体の職場環境

自民党の坂本哲志氏は現金10万円の一律給付に関連して、「各自治体の受付窓口では、職員が昼夜を分かたず働いており、給付の遅れに対する住民からの苦情は、すべて自治体の首長や職員に集まる。現場の職員にとっては、今後もさらに厳しい職場環境が続く」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「先月25日までにすべての地方自治体で申請受付が開始され、99.9%で実際の給付が始まっている。平成20年度の定額給付金と比較しても格段に早く給付が行われており、自治体の首長や職員に改めて深く感謝申し上げたい。政府としては一日も早く給付金をお届けできるよう、引き続き、地方自治体と連携しつつ、全力で取り組んでいく」と述べました。

公明 石井幹事長代行 医療機関への支援

公明党の石井幹事長代行は「感染を危惧して、外来、入院患者ともに大幅に減少し、病院の経営状況が著しく悪化している。第2次補正予算案では重症の感染症患者の診療報酬を3倍に引き上げるなどの支援が行われるが、その他の医療機関も支援しなければ、経営破綻による医療崩壊が起こりかねない」と指摘しました。

これに対し加藤厚生労働大臣は、病床の確保や医療提供体制の整備に関する今後の方針を、今月中旬にも示すとしたうえで、「今回、コロナ対応を行う医療機関のみならず、その他の医療機関での感染拡大防止の支援も行う。病床確保への補助は重点医療機関を対象にしていたが、地域によっては役割分担するほど病院数がないという声も聞くので、制度の弾力的な活用も考えたい」と述べました。

立民 大串氏 10兆円の予備費

立憲民主党の大串博志氏は「予備費が10兆円と聞いて腰を抜かした。毎年の予算の予備費が5000億円であることを考えると、20年分の予備費を、今回1回で積んでおり、国民の目を通じて予算を統制していこうという財政民主主義に反した行為だ」と積算の根拠をただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「第2波、第3波が襲来し、事態が大幅に深刻化した場合には、少なくとも5兆円程度の予算が必要になるが、今後の長期戦の中で、事態がどのように進展するかは予見しがたい。どのような事態が起きても、迅速かつ十分に対応できるように、十分な予備費をとった。経済にも、相当、深刻な影響が出ており、さまざまな可能性に相当のスピード感を持って対応する必要がある」と述べました。

国民 渡辺氏 国会の会期

国民民主党の渡辺周氏は来週17日に会期末を迎える、今の国会の会期について「補正予算が成立後、正しく執行されるためにも国会を止めてしまってはいけない。立法府が指摘し続けたことで、いろいろな問題が明るみに出ている。この緊急事態だからこそ、国会を開き続けようと、リーダーシップで決断してほしい」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「会期は、まさに国会でお決めいただくことだ。これまで実施してきたさまざまな施策については、担当省庁において、引き続き、適切な執行と丁寧な説明を徹底させていきたい」と述べました。

また延期された中国の習近平国家主席の、国賓としての日本訪問について、安倍総理大臣は「新型コロナウイルスの状況を収束させることが何よりも重要だ。少なくとも今は具体的な日程調整をする段階にはないと考えている」と述べました。