熱中症対策「マスク 屋外では状況に応じ外して」新型コロナ

熱中症対策「マスク 屋外では状況に応じ外して」新型コロナ
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9日は東京の都心でことし初めての真夏日となるなど各地で厳しい暑さとなり、特に九州など西日本では35度以上の猛暑日になりました。この時期は、まだ体が暑さに慣れていないほか、マスクの着用で体に負担がかかるとされているため、厚生労働省などは熱中症を防ぐため屋外では状況に応じてマスクを外すよう呼びかけています。
新型コロナウイルスの感染を防ぐため国は引き続きマスクの着用を求めていますが、気温が上がるこれからの季節は熱中症のリスクも高くなります。

厚生労働省や環境省はウイルスの感染防止を進めながら熱中症を予防するポイントをまとめました。

それによりますと、屋外では、人との距離が2メートル以上ある場合は、気温や湿度など状況に応じてマスクを外すよう呼びかけています。

また、マスクをしている場合はなるべく激しい運動を避け、こまめに水分を補給するよう求めています。

担当者は「特に高齢者や子ども、障害者は熱中症になるリスクが高い。ウイルスの感染防止とともに熱中症についても周りが気を配ってほしい」と話しています。

屋外の人々「マスク外すわけにもいかない」

9日、東京都心では最高気温が30度を超え、ことし初めて真夏日となりましたが、暑い屋外でもマスクをしている人がほとんどでした。

69歳の会社経営の男性は「暑いけど、マスクを外すわけにもいかないので、どうしようもないですね。公園や人が少ないところでは少しの時間だけ外すようにしています」と話していました。

また、50代の女性は「息が苦しいだけじゃなくて、口の周りが汗で蒸れてしまうので、不快感を感じます。汗を拭くと顔も触ってしまうので、感染防止のためにどうすればいいか悩んでしまいます」と話していました。

就職活動中の22歳の男子大学生は「呼吸がしづらいですが、感染も怖いのでマスクを着けています。スーツも早く脱ぎたいです」と話していました。

マスク内の口元の温度 ない場合より3度高く

マスクを着けると顔の温度がどう変化するのか、サーモグラフィーを使って実際に測ってみました。

正午前に渋谷の街中で測定したところ、マスクをしていない状態では口元の温度は36度前後になっていました。

マスクを着けると、温度はすぐに3度ほど上がり39度から40度を示しました。

マスクをしたまま5分ほどたつと、マスクの内側に熱がこもって、口の周りに汗をかき始めるのがわかりました。

マスクを着用していない時に比べてかなり暑さを感じ、時間がたつに連れて息苦しい感覚もありました。

夏用マスクの販売も

暑い日でも熱がこもりにくい夏用のマスクを販売する動きも広がっています。

オーダーシャツの製造・販売をしている会社は、休業要請でシャツの出荷が大幅に減った影響もあり、クールビズ用のワイシャツに使う布でマスクを作って販売しています。

通常のものよりも通気性がよく、汗をかいても乾きやすいのが特徴で、当初作った300枚がすぐに売れたということです。

会社では今後、さらに改良して販売数を増やすことにしています。

製造を手がけている会社の竹田雅朗エリアマネージャーは、「お客さんからは『息をするのが楽だ』と好評です。100枚が1日で完売してしまうほどで、慌てて追加生産している。営業職の会社員など夏でもマスクを着ける必要がある人に少しでも快適に過ごしてもらえればと思います」と話していました。

専門家「マスクで熱中症リスク高まる」

熱中症に詳しい日本医科大学大学院の横堀將司教授は「マスクによって一概に熱中症になりやすいということではないが、マスクを着けると呼吸がしにくくなり、心拍数や呼吸数が1割ほど増えるというデータがある。そこに運動や気温の急激な上昇が加わると、熱中症になるリスクが高まる」と指摘しています。

そのうえで「マスクで飛沫感染を防ぐことは重要だが、高齢者や1人暮らしの人は特に熱中症に注意が必要だ。屋外であれば木陰などの人が少ない場所でマスクを外して休むことも心がけ、さらに汗で湿ると通気性が悪くなるので、マスクを適度に取り替えることもしてほしい」と話しています。