首都圏 JR利用客が急増 宣言解除前と比べ54%増加

首都圏 JR利用客が急増 宣言解除前と比べ54%増加
首都圏のJRの利用客は、緊急事態宣言の解除前と比べ、解除された先月25日の週の平日が14%の増加だったのに対し、先週の平日は54%の増加と急増していることが分かりました。
JR東日本は自動改札機を通過した人数などをもとに、緊急事態宣言解除の直前の先月18日から22日までの平日5日間と解除後の平日の利用状況の推移を比較しました。

それによりますと、首都圏のJRを利用した人は、宣言が解除された先月25日から29日までの平日が14%の増加だったのに対し、先週の今月1日から5日までの平日は54%増と急増しているということです。

このうち、山手線の朝の通勤時間帯も先々週の16%の増加に対し、先週は54%に増え、新型コロナウイルスの感染拡大を警戒する「東京アラート」が出される中、増加が続いていることが分かりました。

駅別では、解除前と比べ、先々週と先週では、
▽渋谷駅で23%が72%に、
▽東京駅で22%が70%に、
▽新宿駅で22%が67%にいずれも急増しています。

去年の同じ時期と比較しても半数近くまで利用客が戻っているということです。

また、東京の近郊では、
▽千葉駅で32%が69%に、
▽大宮駅で21%が60%に、
▽横浜駅で20%が58%にいずれも増えているということです。

一方、新幹線の利用客は、先々週の26%増が先週は74%の増加となり、遠距離の移動も急増しています。

JR東日本は「都が休業要請をステップ2に緩和し、学校の休校も解除されたことなどが影響し、利用者が増えたとみられます。時差出勤やテレワークなど鉄道の混雑緩和への協力を引き続きお願いしたい」としています。

要因は通勤・通学の利用者増か

6月に入り利用者が急激に増えていることについて、JR東日本では、通勤や通学での利用者が増えたことがあるとみています。

JR東日本によりますと、首都圏における平日の定期券の利用状況は、緊急事態宣言が解除される直前の先月18日の週は去年の同じ時期の37%程度でした。

それが解除された直後の先月25日の週は去年の同じ時期と比べて42%に増加し、今月1日の週は57%にまで急激に増えています。

東京都は、6月1日から休業要請などの緩和の段階を「ステップ2」に進めたほか、都内の公立の小中学校や高校では分散登校や短縮授業なども含めるとほとんどの学校が6月1日から再開されています。

JR東日本では通勤・通学での利用者が増えたことで鉄道利用者が増えたとみています。

JR 対策は消毒と換気の徹底

鉄道利用者が急増し、鉄道各社では感染予防のためのあの手この手の対策を行っています。

このうちJR東日本では、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、山手線などすべての車両について、数日に1回の頻度で車内の消毒作業を行っています。

東京 品川区の東京総合車両センターでは、8日も担当者がつり革や手すり、窓枠やドア付近など乗客が触れる部分を中心に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使って一つ一つ、拭き上げていました。

また、特に力を入れているのが車内の換気の対策です。

JR東日本の車両のほとんどに、外気を取り込むことができる空調設備がついていて、窓を閉めた状態でも1車両当たり5分から7分程度ですべての空気を入れ替えることができるということです。

ただ、社内で効率的な換気についての検討・研究した結果、空調設備を使いながら窓開け運行をすると、より効率的に空気を入れ替えることができることが分かり、JRでは窓開け運行を実施しています。

雨や蒸し暑い日が多くなるこれからの時期でも、窓を開ける幅を5センチから10センチ程度であれば、冷房の効果をなるべく保ちながら換気効率を維持できることもこれまでの検討・研究で分かり、今後も「窓開け運行」を実施していくことにしています。

JR東日本車両技術センターの菊地隆寛所長は「利用者の心理面から考えても窓開けは重要だと考えている。利用者の不安を少しでも解消できるよう対策を徹底していきたい」と話しています。

各社 ホームページなどで混雑情報を提供

鉄道各社ではアプリやホームページなどで混雑情報を公表し、時差出勤などを実施するよう呼びかけています。

このうちJR東日本は携帯の公式アプリで山手線の混雑状況をほぼリアルタイムで見られるサービスを行っているほか、ホームページでは、東海道線や中央線など12線区・13区間の車内混雑の状況を過去1週間分提供しています。

また、首都圏の大手私鉄でも、各社のホームページで路線ごとの混雑時間帯などを紹介しています。

鉄道各社は混雑緩和のため、引き続きテレワークや時差出勤などの実施を呼びかけています。