銀行・信金の貸し出し大幅増 新型コロナで融資増える

銀行・信金の貸し出し大幅増 新型コロナで融資増える
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新型コロナウイルスの影響で企業の資金繰りが課題となる中、5月の民間の銀行と信用金庫による企業や個人向けの融資の残高は、去年の同じ時期を4.8%上回る562兆円余りとなり、増加率は比較が可能な2001年1月以降、最も高くなりました。
日銀が8日発表した貸出・預金動向によりますと、全国の民間銀行や信用金庫による先月の企業や個人への融資の残高は、月内の平均で562兆5464億円でした。去年の同じ時期と比べて25兆7000億円余り、率にして4.8%増え、増加率は比較が可能な2001年1月以降、最も高くなりました。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが急激に減少し資金繰りが厳しくなった企業や個人事業主への融資が増えたことが主な要因で、政府の経済対策として実質無利子・無担保で融資する制度が先月から民間の金融機関でも始まり銀行や信用金庫の積極的な貸し出しにつながった形です。

中小企業の資金繰り支援をめぐっては日銀が今月から金融機関に資金を供給する新たな制度を設けています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響は長引くことも懸念され、融資はさらに増える見通しです。

政府系金融機関でも融資増加

新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対する融資は政府系金融機関でも増えています。

日本政策金融公庫では、先月までに新型コロナウイルスの影響を受ける企業からおよそ52万件の融資の申し込みがあり、審査が終わった36万件の融資を決定しました。

このうち、先月1か月でおよそ18万件の融資を決め、3月、4月よりも決定の件数は増加傾向にあります。

去年5月の中小企業や個人事業主に対する融資の実行件数は2万8000件余りだったため、融資は大きく増えています。

一方、商工中金は、先月までに政府の経済対策に基づく「危機対応融資」の相談がおよそ2万6000件あり、およそ1万2000件の融資を決定しました。

このうち、先月1か月の融資の決定件数はおよそ8000件、金額にして5500億円余りで、通常、行っている融資に比べると件数は大きく増えています。