外出制限が大幅緩和のパリ 公共交通の混雑防ぐため罰則も

外出制限が大幅緩和のパリ 公共交通の混雑防ぐため罰則も
フランスでは先月から外出制限が大幅に緩和されましたが、パリとその近郊を含む首都圏では、公共交通機関の混雑を防ぐために罰則も伴った厳しい対策がとられています。
このうち、多くの市民が利用する地下鉄では、乗客どうしが十分な距離を保てるよう、駅構内のホームや車内の床に立ち位置の目安となる丸いマークがつけられています。

対面式の座席も乗客が正面に向き合わないよう対角線上にしか座れないようになっています。
さらに朝と夕方の通勤時間帯の混雑を避けるため、在宅勤務や時差通勤が奨励されているほか、この時間帯に地下鉄を利用する人には勤務先が発行する通勤証明書などの携帯が義務づけられています。

巡回する警察官が抜き打ちでチェックを行っていて証明書を持たずに乗車している場合には、135ユーロ、日本円で1万6000円余りの罰金が科せられます。

こうした措置を受けて地下鉄で混雑は見られず、通勤時間帯もすいています。

市民の反応はおおむね肯定的で、パリ中心部の駅を利用する人からは「混みすぎると感染の可能性が高まるので、いいことだと思う」という声が多く聞かれました。

一方で、公共交通機関のさまざまな制限が感染対策として効果的かどうかについては「すでに多くの人が出歩いていて意味があるのだろうか」といった意見も聞かれました。

パリではこのほか、地下鉄やバスを運営する会社が専用のアプリに、路線ごとにリアルタイムで混雑状況を示す機能を追加しました。

アプリには、乗客からの情報をもとに「座席があいている」から「降りるのも難しいほど混み合っている」まで車内の状況が5段階で表示され、利用者にとってはできるだけすいた時間に乗車するための参考になります。
フランスでは政府や自治体が、公共交通機関や自家用車の代わりに自転車を利用することも呼びかけていて、パリ市は、特に混み合う地下鉄の3つの路線に沿って走る車道の一部、合わせて50キロを暫定的な自転車専用のレーンにしました。

こうした動きはフランス各地の都市部を中心に広がっていて、暫定的な自転車専用レーンの総延長は1000キロにおよび、政府によりますと、自転車の利用は、外出制限の前に比べて44%増えたということです。