苦境のオーケストラ 国内の公演1000超が中止や延期 新型コロナ

苦境のオーケストラ 国内の公演1000超が中止や延期 新型コロナ
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国内のオーケストラは公演ができない状態が長引くうえ再開もすぐにはできず、1000を超える公演が中止や延期に追い込まれています。
日本オーケストラ連盟によりますと、加盟している国内37のオーケストラが2月下旬以降、4日までに中止や延期を決めた公演は、合わせて1009に上っています。

このうちおよそ300公演は、今月以降に予定されていたもので、緊急事態宣言が全国で解除されたあとも、すぐには公演を再開できず苦境に立たされています。

再開に時間がかかる理由について、連盟は楽団員がこの3か月間、集まって練習できなかったうえ、舞台上や客席のいわゆる「3密」を防ぐ方法が定まっていないことや、海外の指揮者やソリストが来日するめどが立っていないことなどを挙げています。

また、客どうしの間隔を広げるために客席を減らした場合、チケット収入だけでは赤字になるおそれもあり、再開しても公演を続けていけるのか心配する声が聞かれるということです。

連盟の桑原浩常務理事は、「不安材料は、資金と芸術表現の大きく2つの面で残っている。再開することで、演奏ができる喜び、お客様を招ける喜びはあるが、赤字を増やしていく期間が長ければ意味がないので、非常に大きな問題だと考えている」と話しています。

再開に向け 試行錯誤

苦境が続く中、再開に向けて模索を始める動きも出始めています。

大阪を拠点に活動している関西フィルハーモニー管弦楽団は、2月下旬以降、16の公演が中止や延期となり、およそ60人の楽団員は2月28日の定期演奏会を最後にステージに立っていないということです。

楽団員が集まっての練習もほとんどなくなり、トランペット奏者の白水大介さんも、不安を抱えながら1人練習する日々が続きました。

白水さんは、「演奏会がなくなっていくので、これは一体どうしたものかと不安になっていった。そのうちに、やっぱりお客さんには生で演奏を聴いてほしいという思いが強くなっていきました」と振り返っています。

その後、緊急事態宣言が解除されたことを受けて、楽団は今月27日の定期演奏会での再開を目指すことになりました。
先月29日には楽団員がおよそ2か月ぶりに練習場にしているホールに集まり、ステージ上で「ソーシャルディスタンス」を十分に確保したうえで問題なく演奏できるかどうか検証しました。

場所を変えながら演奏を繰り返した結果、弦楽器は前後左右に1.5メートル、管楽器は2メートルの距離をそれぞれ確保しても、ステージに30人ほど上がることができ、弦楽器の配置を工夫することで違和感なく演奏できることが分かりました。

楽団は、予定していた曲目を少ない人数でも演奏できる曲に変更し、再開の第一歩となる定期演奏会を成功させたいとしています。

白水さんは、「試行錯誤を重ねて情報を集めつつ、自分たちの経験を生かしながら公演を続けていける方法を探っていくので、ぜひ応援してもらいたい」と話していました。