予備費 5兆円程度は政府が使途示すこと確認 来週審議入り合意

予備費 5兆円程度は政府が使途示すこと確認 来週審議入り合意
新型コロナウイルス対策の第2次補正予算案をめぐって、自民党と立憲民主党は、10兆円の予備費のうち5兆円程度について、政府が使途を示すことを確認し、来週から審議に入ることで合意しました。
自民党の森山国会対策委員長と立憲民主党の安住国会対策委員長は5日、国会内で会談し、新型コロナウイルス対策の今年度の第2次補正予算案をめぐって協議しました。

そして、野党側が使いみちを明確にするよう求めている10兆円の予備費について、政府が財政演説で「第2波、第3波が襲来し、事態が大幅に深刻化した場合、少なくとも5兆円程度の予算が必要になる」として、5兆円分の使途を示すことを確認しました。

具体的には、雇用調整助成金など雇用維持や生活支援に1兆円程度、持続化給付金や家賃支援給付金など事業継続に2兆円程度、地方向けの医療・介護の交付金など医療提供体制の強化に2兆円程度を充てるということです。

そのうえで政府は、残る5兆円について「今後の長期戦の中で、事態がどのように進展するか予見しがたいところが大きく、万全を期すため確保したい」として、予備費の使用は適時適切に国会に報告するということです。

これを受けて、第2次補正予算案については、来週8日に衆参両院の本会議で財政演説と各党の代表質問を行い、審議に入ることで合意しました。

このあと衆議院予算委員会の理事懇談会が開かれ、与野党は9日と10日に安倍総理大臣とすべての閣僚に出席を求めて、第2次補正予算案の質疑を行ったうえで、採決することを決めました。

また、自民党と立憲民主党の参議院国会対策委員長が会談し、自民党は、参議院で10日と11日に審議を行い、成立させたいと提案しました。

これに対し、立憲民主党は、11日と12日に質疑を行うべきだとして折り合わず、引き続き協議することになりました。

自民 森山国対委員長「速やかな成立を図りたい」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し、「10兆円という、いまだかつてない金額の予備費を、どう国民に理解いただくかという視点に立って、解決を見いだせたのではないか。あとは予算委員会で議論することが大事で、第2次補正予算案は緊急を要する課題もあり、速やかな成立を図りたい。11日には成立をお願いしたい」と述べました。

立民 安住国対策委員長「執行について厳しくチェック」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し、「予備費は、使途を明確にするのと白紙委任とでは全く違うので、大きな一歩だが、執行については厳しくチェックしていきたい。また、補正予算案の審議の中で、『Go Toキャンペーン』や『持続化給付金』の事務委託も追及したい」と述べました。

菅官房長官「与野党の考え踏まえ対応」

菅官房長官は、午後の記者会見で「予備費は、もともと予見しがたい予算の不足に充てるために措置するものであり、示された使途についても、幅を持って見る必要がある。与野党から今後の対応について考え方が示されたものであり、政府としては、それを踏まえて適切に対応していきたい」と述べました。

公明 山口代表「しっかりと説明しなければならない」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で、「予備費は、予測しがたい事態に対する歳出を担保するための重要な項目だ。国会が閉会になった時、第2波、第3波が懸念される状況のもと、大きなニーズが出てきた場合どうするのか。野党側の主張は平時の原則論だ。国民に十分に理解してもらえるよう、与党としても、政府としてもしっかりと説明していかなければならない」と述べました。

共産 田村政策委員長「予備費は国会で修正を」

今年度の第2次補正予算案の予備費をめぐり、共産党の田村政策委員長は、記者会見で「内訳が示されても予備費であることは変わらず、財政民主主義の観点から『それでよいのか』と引き続き問われる。予備費のままにするのではなく、国会で修正の議決をすべきだ」と述べました。

そのうえで「医療機関への支援など足りないところがまだまだあるので、予備費を削り、第3次補正予算案を編成すべきだ」と述べました。