マスク着用めぐり裁判員裁判が中断「主張が十分伝わらない」

マスク着用めぐり裁判員裁判が中断「主張が十分伝わらない」
緊急事態宣言の解除を受けて、2日東京地方裁判所で3か月ぶりに裁判員裁判が再開されましたが、法廷でのマスクの着用をめぐって裁判官と弁護士の考えが食い違い、審理が中断するトラブルがありました。弁護士は「マスクをすると裁判員に主張が十分に伝わらず被告の不利益につながりかねない」と話しています。
東京地方裁判所では、裁判員が安心して参加できるよう感染防止策を取ったうえで2日、2件の裁判員裁判の初公判が3か月ぶりに開かれました。

このうち午前に開かれた殺人事件の初公判では、被告の弁護士2人がマスクを着用していなかったため裁判長が開廷直後に着用を求めましたが、弁護士は「被告の人生がかかっている重要な弁護をマスクをしたまま行うのは難しい。裁判員に近づくこともなく、体調も万全に整えてきている」と述べて、着用を拒否しました。

このため裁判長は審理を中断し、裁判員の了承を取り、裁判員と弁護士の間にもアクリル板を追加したうえで午後に再開しました。

東京地方裁判所では出廷する全員にマスクの着用を求めているということで、裁判長は「マスクの着用に協力いただけないことは遺憾だ」と述べました。

NHKの取材に対して弁護士は「マスクを着けていると弁護士の表情が分からず、裁判員に主張が十分に伝わらないおそれがあり、被告の不利益につながりかねない」と話しています。