難病のめいちゃんが届けたかった似顔絵

難病のめいちゃんが届けたかった似顔絵
入院している子どもと交流し、笑顔を届けるクリニクラウンと呼ばれる道化師の団体があります。新型コロナウイルスの影響で病院に入れず活動を取りやめていましたが、亡くなった女の子から届けられた似顔絵などをきっかけに新たな活動を広げていくことになりました。
似顔絵は、ことし3月に亡くなっためいちゃんという5歳の女の子の母親から届けられました。

めいちゃんは左心底形成症候群という難病に指定されている心臓の病気で、生まれてからほとんどの時間を病院の中で過ごしました。

外に出られないめいちゃんは、病院に来て一緒に遊んだり楽器を演奏してくれたりするクリニクラウンのことが大好きで、実際に会った時にはうれしくて固まってしまうほどでした。

似顔絵に添えられた母親からの手紙には「めいが3月20日の1時45分にお空に旅立ちました。新型コロナのため、めいに8日間も会えず、(命が危ないので)心臓マッサージをしているから来て下さいという電話があり、久しぶりの再会をしました」などと書かれていて、5歳の子どもが家族とも会えない中で病気と闘っていた姿が浮かばれました。

亡くなっためいちゃんがクリニクラウンに会ったのは2月が最後で、似顔絵はその後「自分で渡す!」と言って描き残していたものでした。
出会ったクリニクラウンの丸く赤い鼻や大きな目が描かれていて、似顔絵をめくると裏に赤いクレヨンで「ありがとう」と書き留めていました。

母親の美由紀さんは手紙に「めいの気持ちを受け取って下さい。めいはずーっとずっと(クリニクラウンの)動画を見ていました。クリニクラウンさんに出会えた事、本当に本当によかったと心から思います。つらく痛い入院生活に花を咲かせてくれました。これからもたくさんの子どもさんを楽しませてあげてください」とつづっていました。
NPO法人日本クリニクラウン協会は、ことし2月ごろから病院への訪問を中止していましたが、届けられた似顔絵や医療現場からの希望を受け、子どもとウェブで交流する取り組みや、クリニクラウンの動画を配信する取り組みに力を入れ、新しい形で笑顔を届けることにしました。

日本クリニクラウン協会の熊谷恵利子事務局長は「親と会えず、不安を抱えている子どもたちが子どもたちらしく笑えるよう、今だからできる支援をしていきたい」と話しています。