新型コロナ専門家会議 議事録作成せず 官房長官「適切に対応」

新型コロナ専門家会議 議事録作成せず 官房長官「適切に対応」
新型コロナウイルス対策を話し合う政府の専門家会議について、菅官房長官は、発言者や発言内容をすべて記録した議事録を作成していないことを明らかにしたうえで、行政文書の管理に関するガイドラインに沿って適切に対応しているという認識を示しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は、行政文書の管理に関するガイドラインに基づき、国家や社会として記録を共有すべき「歴史的緊急事態」に初めて指定し、政策の決定または了解を行う会議などでは発言者や発言内容を記録し、それ以外は活動の進捗(しんちょく)状況などを記録するとされています。

これに関連して、菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、記者団が「政府の専門家会議で議事録が作成されておらず、こうした消極的な姿勢で後世の検証にたり得るのか」と質問したのに対し、「専門家会議は、ガイドラインの『政策の決定または了解を行わない会議』に該当する」と述べ、議事録を作成していないことを明らかにしました。

そのうえで「専門家に自由かつ率直に議論していただくために、発言者は特定されない形だが、議事概要は作成して公表している」と述べ、ガイドラインに沿って、適切に対応しているという認識を示しました。

官房長官 議事録作成には慎重姿勢

菅官房長官は、午後の記者会見で、「専門家会議については、行政文書の管理に関するガイドラインに沿って適切に記録を作成しているが、発言者を明示しないことは最初の会議でメンバーに説明し了解をいただいた」と述べました。

そのうえで、記者団から、改めてメンバーの了解を得て、議事録を作成する考えがないか問われ、「いろいろな意見があろうかと思うが、いま行っていることを担当部局で適切に対応するだろう」と述べ、議事録の作成には慎重な姿勢を示しました。

また、政府の対策本部や関係閣僚による連絡会議の取り扱いについて、菅官房長官は「対策本部は、ガイドラインに定める政策の決定または了解を行う会議に該当し、適切に議事の記録を作成している。ガイドラインやそれぞれの会議などの性格を踏まえ、担当部局で適切に記録を作成している」と述べました。

西村経済再生相「自由で率直な議論が大事」

西村経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、「専門家の立場で、自由に率直な議論をしてもらうことが大事であり、そうした観点から、1回目の会議で、発言者を特定しない形で議事概要を残すことを説明し、理解をいただいている。歴史的な事態なので、しっかりとガイドラインに従って記録を残し、のちに検証する際の資料として活用されるようにしたい」と述べました。

北村地方創生相「ガイドライン上必要な記録を適切に作成を」

公文書管理を担当する北村地方創生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、「専門家会議は、議事録の作成が必要となる会議には該当しないと聞いているが、その活動を含め将来への教訓として極めて重要であり、将来にわたって検証が可能になるよう、内閣官房でガイドライン上、必要となる記録を適切に作成・保存してもらいたい」と述べました。

立民 枝野代表「とんでもない話 政府には作る責任がある」

立憲民主党の枝野代表は、党の会合で、9年前の東日本大震災の際、当時の民主党政権が「緊急対策災害本部」などの議事録を作成しておらず、自民・公明両党から批判を受けたとしたうえで、「当時の指摘をそっくりお返ししたい。大事な会議の記録が残っていないのは、とんでもない話だ」と批判しました。

そのうえで、「われわれは録音や役所の担当者のメモをつなぎ合わせて、ほぼ正確な議事録を作成した。専門家会議の議事録は、現時点でも作れるし、政府には作る責任がある」と述べ、速やかに作成するよう求めました。

国民 玉木代表「記録回復を」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「重要な局面で記録を残していないのは、歴史に対する背信行為だ。政府はこれまでの対応を検証し、感染の第2波、第3波に備えるべきだが、議事録がなければどう検証するのか。政府は記録の回復に努めるべきだ。国会でも厳しく追及しなければならない」と述べました。

共産 田村政策委員長「議事録作成を」

共産党の田村政策委員長は、記者会見で「議事録が残されなければ、どのような議論が行われたかが分からず、のちのち検証できない。今どき、会議を録音していないということはありえず、作成を求めたい」と述べました。