イスラム教の断食月 明けても各国規制強化 新型コロナ

イスラム教の断食月 明けても各国規制強化 新型コロナ
イスラム教の断食月、ラマダンが中東などの多くの国で23日に明けましたが、各国ではラマダン明けの連休中もモスクでの礼拝を禁止したり外出規制を強化したりして、新型コロナウイルスの感染拡大への警戒を強めています。
イスラム教徒が日中の飲食を断つ断食月、ラマダンは中東などの多くの国で先月下旬に始まり、およそ1か月たった23日に明けました。

例年、ラマダン明けには連休を利用した帰省や旅行などで多くの人が移動し、集団での礼拝も各地で行われますが、今年は感染拡大への懸念から各国では連休中も引き続きモスクでの礼拝を禁止したり、外出規制を強化したりする措置を取っています。

このうちエジプトではラマダンの期間中に規制を緩和したこともあって感染者が1万5000人を超えて増え続けているため、連休中は夜間の外出禁止や商業活動も厳しく規制して警戒を強めています。

首都カイロの市民からは「親戚や友人に会うラマダン明けの雰囲気はありません。電話で祝いの言葉を交わすしかありません」とか、「我慢するしかなく、この危機が早く終わることを願っています」などといった声が聞かれました。

中東各国 感染者増加で規制強化

中東ではラマダンの期間中も感染者が増え続けた国が少なくなく、各国は対策に苦慮しています。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の日本時間24日午前0時の集計によりますと、中東で感染者が最も多いのは▼トルコで15万4500人、次いで▼イランが13万3521人、▼サウジアラビアが7万161人、▼カタールが4万2213人などとなっています。

トルコでは1日あたりの感染者の数は減少傾向にありますが、ラマダン明けの連休中は原則24時間、外出禁止としたほか、イランでは感染者が再び増加傾向になり、感染の状況が深刻な地域では経済活動を停止しています。

またサウジアラビアやカタールなどの湾岸諸国、それにエジプトなどでも感染者の増加が続いていて、各国ともラマダン明けの連休中の外出制限や商業活動の規制を強化して警戒を強めています。

インドネシアでは帰省禁止 検問も

世界で最も多くのイスラム教徒が住むとされるインドネシアでは例年、ラマダン明けの連休でおよそ2000万人が故郷に帰省しますが、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして今年は帰省を禁じると発表しました。

これを受けて各地の高速道路や州境では警察が検問を行っていて、違反者には最大で日本円でおよそ70万円の罰金や禁錮1年の刑罰が科されます。

一方で帰省の時に多くの人が利用する長距離バスを運行する会社に大きな損害が出ていて、政府に支援を求める声も上がっています。

インドネシアでは新型コロナウイルスの感染者が2万人を超え、亡くなった人は1351人と東南アジアでは最も多くなっていて、各地で企業活動の制限や集会の禁止などの措置が続いています。