米 「ロシアが違反」領空開放条約離脱発表 ロシアは否定

米 「ロシアが違反」領空開放条約離脱発表 ロシアは否定
東西の冷戦終結後、アメリカやロシアなどが軍事活動の透明性を確保するために結んだ「領空開放条約」についてトランプ政権は、ロシアが守っていないと主張し条約からの離脱を発表しました。これに対しロシア側は違反していないと否定し、米ロ間の新たな対立要因になりそうです。
アメリカのポンペイオ国務長官は21日、声明を発表し、「領空開放条約」から離脱することを決め、関係国に通知することを明らかにしました。

この条約は、冷戦終結後の1992年に署名され、アメリカやロシア、ヨーロッパの34か国が参加していて、軍縮の検証などのため他国の偵察機が領空を飛行して監視することを相互に認めています。

しかし、アメリカは、ロシアがジョージアとの国境の上空などで飛行を制限したとして不満を強め、トランプ大統領は21日、ホワイトハウスで「ロシアが守らなかったので条約を離脱する」と述べました。

アメリカは、6か月後に正式に離脱しますが、ロシアが条約を完全に守れば離脱の決定を見直すとしています。

一方、ロシアのグルシコ外務次官は「いかなる違反もしていない」と否定し、米ロ間の新たな対立要因になりそうです。

トランプ政権は、ロシアとのINF=中距離核ミサイルの全廃条約も破棄しており、今回の離脱について核軍縮の専門家からは、軍拡競争につながりかねないと改めて懸念する声が出ています。

仏など10か国は「遺憾」を表明

アメリカのトランプ政権が「領空開放条約」からの離脱を発表したことについて、フランスやドイツ、イタリアなどヨーロッパの10か国は22日、「ロシアに対する懸念は共有するが、アメリカ政府が離脱の意向を表明したことは遺憾だ」とする声明を共同で発表しました。

そのうえで「条約は過去数十年にわたり、ヨーロッパと大西洋地域全体の透明性と安全性を高めてきたものであり、信頼を構築する枠組みとして重要だ」と強調し、引き続き、条約を順守していく意向を表明しました。

また、ロシアに対しては、すべての締約国との対話を継続するよう求めるとしています。