中国 国防費6.6%増 19兆円余 コロナ影響の中 軍備増強は継続

中国 国防費6.6%増 19兆円余 コロナ影響の中 軍備増強は継続
中国政府が明らかにしたことしの予算案で、国防費は去年に比べて6.6%多いおよそ1兆2680億人民元、日本円で19兆円余りとなりました。新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込む中、中国政府としては引き続き軍備の増強を進める姿勢を示しました。
中国政府は22日、全人代=全国人民代表大会で審議されることしの予算案を明らかにしました。

このうち国防費は、去年に比べて6.6%多いおよそ1兆2680億人民元、日本円で19兆円余りとなりました。

新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込む中、伸び率は去年の7.5%を下回りましたが、国防費の増加額はおよそ780億人民元、日本円で1兆1000億円余りに上り、引き続き軍備の増強を進める姿勢を示しました。

一方で、国防費の詳しい内訳は公表されておらず、各国からは実際の額はさらに多いと指摘されています。

これについて、全人代の張業遂報道官は、21日夜の記者会見で「中国の国防費の総額はGDPに占める割合でみると、適切で抑制的だ。国防費の金の流れははっきりしており、『隠れた軍事費』は存在しない」と述べ、指摘はあたらないと主張しました。

中国は習近平国家主席が掲げる「世界一流の軍隊を築く」という目標のもと、軍の近代化を図っていて、国産空母の建造やICBM=大陸間弾道ミサイルなど最新鋭の武器の開発を進めています。

また、各国が新型コロナウイルスへの対応にあたる中、中国軍は東シナ海や南シナ海で活発な活動を続けていて、アメリカとの対立が深まる中、中国の軍備増強に対する周辺国の警戒感が一層強まりそうです。

中国の国防費推移

中国の国防費は1989年以降、ほぼ毎年、前の年を10%以上上回るペースで増え続け、2017年に1兆人民元の大台を突破しました。

2016年以降は、伸び率は一桁となっていますが、去年の中国の国防費は1兆1899億人民元、日本円でおよそ18兆円で、今年度の日本の防衛費5兆3133億円と比べると3倍以上となっています。

一方、アメリカの軍事費は、2020会計年度の予算で7380億ドル、およそ79兆円となっていて、中国はアメリカに次いで世界第2位の軍事大国となっています。

※以下「中国国防費の推移」。出所「防衛省」。

▼1980年193億元(ー4.4%)
▼1981年202億元(+4.3%)
▼1982年179億元(-11.4%)
▼1983年179億元(±0%)
▼1984年179億元(±0%)
▼1985年187億元(+4.5%)
▼1986年200億元(+7.2%)
▼1987年204億元(+1.8%)
▼1988年215億元(+5.6%)
▼1989年246億元(+14.0%)
▼1990年290億元(+18.0%)
▼1991年325億元(+12.2%)
▼1992年370億元(+13.8%)
▼1993年425億元(+14.9%)
▼1994年520億元(+22.4%)
▼1995年631億元(+21.2%)
▼1996年702億元(+11.3%)
▼1997年806億元(+14.7%)
▼1998年910億元(+12.9%)
▼1999年1047億元(+15.0%)
▼2000年1205億元(+15.1%)
▼2001年1410億元(+17.0%)
▼2002年1684億元(+19.4%)
▼2003年1853億元(+10.0%)
▼2004年2100億元(+13.3%)
▼2005年2447億元(+16.5%)
▼2006年2807億元(+14.8%)
▼2007年3472億元(+23.7%)
▼2008年4099億元(+18.0%)
▼2009年4729億元(+15.4%)
▼2010年5191億元(+9.8%)
▼2011年5836億元(+12.4%)
▼2012年6503億元(+11.4%)
▼2013年7202億元(+10.7%)
▼2014年8082億元(+12.2%)
▼2015年8896億元(+10.1%)
▼2016年9544億元(+7.6%)
▼2017年1兆444億元(+7.1%)
▼2018年1兆1070億元(+8.3%)
▼2019年1兆1899億元(+7.5%)

中国軍元大佐「米の圧力などに対抗」

中国軍の元大佐で軍事専門家の岳剛氏はNHKのインタビューに応じ、「アメリカが中国への軍事的な圧力と威嚇を続け、各国も軍事力の強化をやめておらず、時代の潮流に合わせて軍の建設を進めていくことになる」と述べ、中国の軍備増強はアメリカの圧力などに対抗するためだと強調しました。

また、各国が新型コロナウイルスへの対応に追われる中、先月、南シナ海に新たに行政区を設置すると発表したことについて「中国は新型コロナウイルスの問題を利用して、特別なことをしようとする意図はない。アメリカの軍艦が中国の『領海』に好き放題入ってくる中で南シナ海での中国の統制力は弱く、行政と軍事の両面で管理を強化する必要がある」と説明しました。

さらに、中国海警局の船が沖縄県の尖閣諸島の領海に今月8日から3日連続で侵入し、日本の漁船を追尾したことについては、先月下旬、東シナ海上空で自衛隊の戦闘機がアメリカ軍の爆撃機などとともに共同訓練を行ったことに触れ、「アメリカ軍が実戦的で威嚇を伴う行為をする中、自衛隊が目立つ形で訓練に加わったことに不満の意思を示すためだった」と主張しました。

菅官房長官「透明性の向上を」

菅官房長官は、午後の記者会見で「中国の国防費は長きにわたって高い伸び率で増加を継続しており、中国の国防政策や軍事力は、透明性を一層高めていくことが望まれる。引き続き重大な関心を持ちながら関連の動向を注視していくとともに、安全保障分野の対話や交流を通じて、中国に対し透明性の向上を働きかけていきたい」と述べました。

防衛省「公表額は実態の一部との指摘も」

中国政府が明らかにした、ことしの予算案で国防費が去年に比べて6.6%多く、日本円で19兆円余りとなったことについて、防衛省は「日本の今年度の防衛費と比べ、およそ4倍ある。高い水準で増加しているが詳細な内訳はなく、公表されている金額は実態の一部だという指摘もある」としています。

そのうえで「各国の懸念を払拭(ふっしょく)するためにも、中国は、具体的で正確な情報開示などを通じて、軍事に関する透明性を高めていくことが強く望まれる」としています。