無人宇宙輸送船「こうのとり」 あす未明 最後の打ち上げへ

無人宇宙輸送船「こうのとり」 あす未明 最後の打ち上げへ
国際宇宙ステーションに物資を運ぶ日本の無人宇宙輸送船「こうのとり」は、最後となる9号機が21日午前2時半すぎに鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。
「こうのとり」は全長10m、直径4.4mの日本の無人宇宙輸送船で、JAXA=宇宙航空研究開発機構は、高度400キロ付近で地球を周回している国際宇宙ステーションに物資を運ぶために開発し、今回の9号機で運用を終えることになっています。

種子島宇宙センターでは「こうのとり」9号機を載せたH2Bロケットが発射場に移され、午後5時ごろから燃料の注入を始めました。

「こうのとり」9号機には、宇宙飛行士の食料などの生活必需品や、国際宇宙ステーションで使うバッテリーなどおよそ6.2トン分の物資が搭載されています。

「こうのとり」の運用は11年前の2009年から始まり、これまで8機すべての打ち上げに成功していて、最後となる9号機の打ち上げに成功すれば、合わせておよそ50トンの物資を国際宇宙ステーションに届けることになります。

JAXAは「こうのとり」の後継機として「HTVーX」を開発して国際宇宙ステーションに物資を運ぶほか、今後、建設が計画されている月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」にも物資を運ぶ予定になっていて、来年度中の打ち上げを目指しています。

「こうのとり」9号機を載せたH2Bロケットの打ち上げに向けた作業は、新型コロナウイルスの影響を受けて地元の自治体などが見学場を閉鎖して見学の自粛などを呼びかける中で進められていて、天候などに問題がなければ21日午前2時31分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられます。

存在感を発揮 なくてはならない宇宙船

「こうのとり」は世界15か国が参加する国際宇宙ステーションに物資を運ぶため、JAXA=宇宙航空研究開発機構が開発した無人の宇宙輸送船です。

全長10メートル直径4.4メートルの円筒形で、国際宇宙ステーションに世界最大となる6トン余りの輸送能力があります。

打ち上げには、「こうのとり」のために開発した、「H2Bロケット」が使用され、11年前の1号機の打ち上げから去年9月の8号機まで、すべて成功しています。

運ぶ物資は、国際宇宙ステーションに必要な機器や実験装置、それに、宇宙飛行士のための水や食料などで、8回の打ち上げで、合わせて42トン余りを届けました。

この中には、宇宙ステーションの電力の維持に欠かせない日本製のリチウムイオン電池を使用したバッテリーなど重要な機器が数多く含まれています。

国際宇宙ステーションへの物資の輸送を巡っては、2014年から2015年にアメリカとロシアの合わせて3種類の輸送船で事故が続き、必要な物資が届かない事態となる中、「こうのとり」がNASA=アメリカ航空宇宙局の物資を緊急に積み込んで輸送に成功するなどして存在感を発揮し、「こうのとり」は宇宙ステーションの運用になくてはならない宇宙船となりました。

「こうのとり」は、国際宇宙ステーションに衝突などしないよう、特に高い安全性が求められ、開発を通してJAXAは、NASAの有人宇宙技術の一端を獲得していきました。

さらに「こうのとり」は、国際宇宙ステーションにドッキングする際に、従来の宇宙船とは異なるロボットアームを使った新しい方式を提案して成功させ、日本の技術の高さを示す形にもなりました。

その一方で、運用開始当初から課題とされてきたのが、1回の輸送に200億円以上の経費がかかることでした。

費用に見合った成果が出ているのか常に説明が求められてきました。

JAXAは「こうのとり」の後継機として、次世代の宇宙輸送船、「HTV-X」の開発を進めていて、来年度中の打ち上げを目指しています。「HTV-X」は2024年度まで運用が決まっている国際宇宙ステーションに物資を運ぶほか、今後、建設が計画されている月を周回する宇宙ステーション、「ゲートウェイ」にも物資を運ぶ予定で、「こうのとり」で培った技術はこうした次世代の宇宙輸送船に受け継がれていくことになります。