新型コロナ 診療の手引き改訂 血栓対応や治療薬など 厚労省

新型コロナ 診療の手引き改訂 血栓対応や治療薬など 厚労省
厚生労働省は新型コロナウイルスに対する医師向けの診療の手引きの改訂版を公表し、重症化に関連があるとされる「血栓」への対応や新たに承認された治療薬についてなど、最新の治療のポイントをまとめました。
この診療の手引きは、実際に新型コロナウイルスの患者の治療に当たる医師などで作る委員会がことし3月に発表した手引きを改訂したもので、医療関係者向けに診断や治療の考え方をまとめています。

この中では、重症化に関係する可能性がある検査項目として、「Dダイマー」と呼ばれる、血液中に血栓ができているかどうかを判定する数値などが紹介されました。
そのうえで、新型コロナウイルスの患者では、免疫の暴走などにより血栓ができやすい状態になる人がいると推定されるとして、必要に応じて血液が固まるのを防ぐ治療を推奨しています。

このほか手引きでは、今月、新型コロナウイルスの治療薬として初めて承認された「レムデシビル」や、現在研究中の薬についても紹介しています。

厚生労働省は「血栓は特に重症患者で呼吸不全の原因につながっていると考えられる。血栓症が起こっていないか注意深く見ることが重症化を回避するため非常に重要だ」としています。

血栓を防げば重症化を予防できる可能性

最近の研究では、新型コロナウイルスに感染すると、一部の人で、免疫が暴走して炎症を引き起こす物質が大量に出る「サイトカインストーム」と呼ばれる症状などのため、血管の細胞が炎症を起こしている可能性が指摘されています。

それにより、血の塊、血栓ができやすい状態になり、さらにその血栓が血管に詰まってしまうと、肺で酸素が取り込めなくなったり酸素が行き渡らなくなったりして重症化につながると考えられています。

このため、「ヘパリン」と呼ばれる血液が固まるのを抑える薬などを使って血栓ができるのを防げば、新型コロナウイルスによる重症化を予防できる可能性があるとして注目されています。