レナウンが民事再生法適用を申請 衣料品販売の低迷 コロナ影響

レナウンが民事再生法適用を申請 衣料品販売の低迷 コロナ影響
「ダーバン」や「アクアスキュータム」などの紳士服ブランドを展開するアパレル大手のレナウンは、新型コロナウイルスの影響で販売低迷に拍車がかかって経営に行き詰まり、15日、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請しました。負債総額は138億円余りで、今後、裁判所の選んだ管財人のもと、建て直しに取り組むことになります。
レナウンは、主力の販路であるデパートでの販売不振や、取引先から売掛金の回収ができなかったことで、去年12月期の決算で67億円の最終赤字となるなど、業績の低迷が続いていました。

ことし3月の株主総会で、筆頭株主の中国の大手繊維メーカーの反対で会長や社長が退任に追い込まれるなど、経営をめぐる混乱も重なり、新体制のもとで立て直しに取り組んでいました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、各地にあるほぼすべての販売店の休業を余儀なくされ、資金繰りが急速に悪化したため、自力での再建を断念し、15日、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請し、再生手続きを開始する決定を受けました。会社によりますと、負債の総額は138億円余りに上るということです。

民間の信用調査会社によりますと、新型コロナウイルスの影響で上場企業が破綻したのは初めてだということです。

レナウンは今後、裁判所が選んだ管財人のもとで支援先探しなどを進め、経営立て直しを目指すことになります。

アパレル業界の老舗

レナウンは1902年、明治35年に大阪の繊維の卸売り業者として創業したアパレル業界の老舗です。

社名は1922年に当時、繊維産業の先進国だったイギリスの皇太子が来日した際の巡洋艦の名前から付けられました。

1960年代からは若い女性向けのファッションを多く手がけ、印象的なコマーシャルソングで一世をふうびしました。

バブル期には、アパレルメーカーとして国内最大規模の売り上げを誇り、1990年にはイギリスの高級ブランド「アクアスキュータム」社を買収しました。

しかし、バブル経済が崩壊したあと、多くの販売拠点を置くデパートでの売り上げが落ち込み、ユニクロなど衣料品の専門店の台頭で業績が低迷しました。

その後、店舗の縮小や社員のリストラなどで経営再建を図りますが販売の不振は続き、2010年、中国の大手繊維メーカーの傘下に入り、経営の立て直しを進めてきました。

しかし、その後も「ダーバン」など紳士服向けの主力ブランドの販売は振るわず、去年12月期の決算で67億円余りの最終赤字となるなど、業績の抜本的な回復に至らないまま新型コロナウイルスの感染拡大の直撃を受け、自力での経営再建を断念しました。

東証 レナウン株の上場廃止を決定

レナウンが東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請して受理されたことを受けて、東京証券取引所は東証1部に上場しているレナウンの株式を来月16日に上場廃止にすると発表しました。それまでは上場廃止の決定を投資家に周知する「整理銘柄」に指定されます。

レナウンの株式を売買できるのは上場廃止の前の日の来月15日までの1か月間となります。