広がる“オンライン婚活” 新しい時代のパートナー探し?

広がる“オンライン婚活” 新しい時代のパートナー探し?
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外出自粛が続く中、仕事や学校の授業、それに飲み会などさまざまな活動がオンラインで行われるようになっています。こうした動きは今、人生のパートナーを探す「婚活」にも広がり、企業が主催する“オンライン婚活パーティー”に大勢の男女が参加しています。
婚活支援などを行っている福岡市の「LMO(エルモ)」は先月初めから毎日、テレビ会議用システムを活用した「オンライン婚活パーティー」を開催し、これまでに延べ400人が参加しています。

先月末のパーティーには20代後半から40代、北は北海道、南は九州に住む男女8人が、自宅のパソコンなどを使って参加しました。

参加者は結婚アドバイザーの進行のもと画面に映し出されたほかの参加者たちの表情を見ながら結婚を望んだきっかけや相手と一緒にしたいことなど、思いを語りました。

神奈川県の30代の女性は「外出できない中、1人暮らしが心細く、そばに誰かにいてほしいと思うようになりました。休みの日にお弁当を持って一緒に出かけてくれる人がいいです」と話しました。

また、北海道の40代の男性は「ふつうの婚活では、地域が限られますが、オンラインなら全国の人とつながることができます。自分は転勤族なので、どこに住んでいる方であっても仲よくなりたいです」とアピールしていました。

オンライン婚活サービスは婚活支援やイベント事業者など少なくとも数十社が始めていて、高田康太社長は「今後の人生をどう過ごし、どう生きていくかを考える婚活の本質は、対面でもオンラインでも変わりません。自宅から気軽に参加でき、距離の壁も取り除かれるオンラインの婚活には、事業者としても非常に可能性を感じています」と話しています。

参加した男性は

熊本市の中西紀徳さん(31)は、結婚を考えていた交際相手との別れをきっかけに、この春から婚活を始め、オンラインの婚活パーティーにもこれまで5回ほど参加しています。

当初、結婚相手をオンラインで探すことに戸惑いも感じましたが、次第にコミュニケーションに慣れてきたということで、「対面よりも緊張せずに気軽に話すことができます。顔と表情でしか、相手のことがわからない分、ある意味、気が散らず、集中して会話ができることは利点だと思います」と話しています。

観光関連の会社で働いている中西さんは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、自宅にいる時間が増え、結婚相手に何を求めるのか深く考えるようになったということで、「今まで大事な人とそばにいられるだけでいいと考えてきましたが、人と会えない時間を過ごすうちにいちばん大切なことは、相手と離れていても共感しあえることだと思うようになりました。自分が与えられるものが何かを考えながら、パートナーを探していきたい」と話していました。

専門家「“コロナ後”の社会示す」

社会学が専門の立正大学 鈴木健之教授はオンラインを通じたコミュニケーションの広がりについて、「その場にいない相手へのイメージを働かせ、丁寧にことばを選び、人と集中して向き合うことで、リアルよりも濃密なコミュニケーションが成立しうるのではないか。今までは対面することが当たり前とされてきたが、“ポストコロナ”の時代では、オンラインを前提にした経済社会の在り方に変化していくだろう。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした大きな社会変革とも言え、“オンライン婚活”も新しい時代のコミュニケーションの在り方を示している」と話しています。