米FRB議長「第2次世界大戦以降のどの不況よりも悪い」

米FRB議長「第2次世界大戦以降のどの不況よりも悪い」
アメリカの多くの州で経済活動が段階的に再開されるなか、中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長は13日の講演で、景気の先行きについて、「極めて不確実だ」などと述べ、強い懸念を示しました。
FRBのパウエル議長は13日、シンクタンク主催のオンラインを使った講演会で、まず新型コロナウイルスの感染拡大を受けたアメリカ経済の現状について「不況の規模とスピードは現代では前例がなく、第2次世界大戦以降のどの不況よりもはるかに悪い」と表現しました。

そのうえで「先行きは極めて不確実で深刻な下押しリスクも考えれば政策は最終章ではない」と述べ、景気の先行きに強い懸念を示すとともに、これまでの大規模な金融緩和策に加え、さらなる措置を講じる可能性を示唆しました。

アメリカでは多くの州で感染拡大のピークは過ぎたとして経済活動を再開させる動きが出ていますが、パウエル議長としては大量の失業など急速に悪化した雇用情勢がなお景気の重しになるという認識を示したものです。

一方、トランプ大統領が景気の下支えに有効だとして導入を要求しているマイナス金利については「私たちが考えていることではない」と述べて、改めて導入に否定的な考えを示しました。

トランプ大統領「議長と意見合わないのがマイナス金利」

トランプ大統領は、13日、FRBのパウエル議長がマイナス金利の導入に否定的な考えを示したことについて、「パウエル議長と意見が合わないのが、マイナス金利だ。ほかの国と同じ状態にするべきだ」と述べ、前日に続いて、導入するよう圧力をかけました。経済が深刻な悪化に直面する中、政府とFRBは連携を続けていますが、マイナス金利の導入に関しては考え方の違いが浮き彫りになっています。