三菱重工業 20年ぶり赤字転落 ジェット旅客機開発遅れで損失

三菱重工業 20年ぶり赤字転落 ジェット旅客機開発遅れで損失
国産初のジェット旅客機の開発を進める三菱重工業は、ことし3月期の決算を発表し、開発の遅れで多額の損失を計上したことから本業のもうけにあたる「事業損益」が20年ぶりの赤字に転落しました。会社は、業績の悪化を理由に今年度のジェット旅客機の開発費を昨年度の半分に減らす方針を明らかにしました。
三菱重工業が発表したことし3月期の決算によりますとジェット旅客機「三菱スペースジェット」の開発の遅れで、2600億円余りの損失を計上したことから、本業のもうけにあたる「事業損益」が295億円の赤字となりました。

本業のもうけが赤字に転落するのは20年ぶりのことです。

一方、来年3月期の業績の予想について会社は、新型コロナウイルスの影響などで、ことし3月期の決算で871億円の黒字だった最終的な損益がゼロになるという見通しを示しました。

11日の記者会見で会社は、2021年度以降としている初号機の納入時期を再度、見直す考えを示したうえで業績の悪化を理由に、今年度のジェット旅客機の開発費を昨年度の半分のおよそ600億円に減らす方針を明らかにしました。

泉澤社長は会見で「新型コロナウイルスの影響で航空業界は大きく変わることになり、ジェット旅客機の受注にも影響が出ないとは思っていない」と述べ、ジェット旅客機の受注などに影響が広がることに懸念を示しました。

長崎造船所のクルーズ船集団感染「おわび申し上げたい」

三菱重工業長崎造船所の香焼工場に停泊している大型クルーズ船で新型コロナウイルスへの集団感染が確認されたことについて、三菱重工の泉澤清次社長は11日、オンラインで行った決算会見の中で「近隣に住んでいる人に、ご心配をおかけしていることにおわびを申し上げたい。クルーズ船の受け入れにあたっては、関係各所や専門家の指導を受けてきたが、結果として、多くの感染が出て、ご心配をかけたことは大変残念に思っている」と述べました。

そのうえで、泉澤社長は現時点で、香焼工場に新たにクルーズ船を受け入れる予定がないことを明らかにしました。