サウジアラビア 付加価値税3倍に引き上げへ 原油安で財政苦境

サウジアラビア 付加価値税3倍に引き上げへ 原油安で財政苦境
産油国のサウジアラビアは、記録的な原油安によって国家の歳入が大幅に減少しているとして、日本の消費税にあたる付加価値税を3倍に引き上げる方針を打ち出し、財政的な苦境が鮮明になっています。
サウジアラビア財務省は11日、国営通信を通じて声明を発表し、世界的な需要の落ち込みによって原油価格が低迷し、国の歳入が大幅に減少している一方、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、医療費などの負担が増えているとして、財政の安定化に向けた新たな措置をとると明らかにしました。

具体的には、ことし7月から日本の消費税にあたる付加価値税を現行の5%から15%へ一気に3倍に引き上げることや、公共事業の実施を延期するなどして歳出を日本円で2兆8000億円余り削減する方針などが盛り込まれています。

豊富な石油収入を元手に所得税を徴収せず、医療費も基本的に無料にする高福祉政策で絶対君主制を維持してきたサウジアラビアですが、今回の付加価値税の増税は、国民に直接負担を強いる形となり、財政的な苦境が鮮明になっています。

今回の決定について、投資家の間では、消費のさらなる冷え込みを招き景気悪化に拍車をかけかねないとの懸念が出ています。