日本に生活基盤ある外国人も入国拒否 先行き見通せず

日本に生活基盤ある外国人も入国拒否 先行き見通せず
新型コロナウイルスの水際対策として外国人の入国を拒否する措置が続く中、日本に仕事や生活の基盤がある外国人が再入国できず、先行きが見通せない状況になっていて、専門家は「日本で仕事や子育てをしている外国人にとって日本は生きる場所になっている。個別のケースや実態をみて入国を判断するべきだ」と指摘しています。
政府は新型コロナウイルスの水際対策の強化のため、現在、87の国と地域に飛行機で乗り継ぐだけの場合を含めて、過去2週間以内に滞在した外国人の入国を拒否しています。

こうした中、14年前から日本で生活しているパキスタン国籍の男性が先月29日、家族5人とともに一時帰国していたパキスタンから日本に再入国しようとしたところ、成田空港の入国審査で拒否されました。

男性は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、唯一運航していたカタール経由の便を利用しましたが、カタールが入国拒否の対象に加わったため、再入国を認められずパキスタンに戻ったということです。
この男性は栃木県小山市の中古車販売会社で、輸出業務を担当するタヒール・アブドゥル・マティーンさん(47)で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っています。

マティーンさんは日本に戻れるめどが立っておらず「子どものうち2人は日本で生まれ、日本を自分の国だと思っています。早く戻って仕事と生活を再開させたい」と訴えています。

外国人政策に詳しい国士舘大学の鈴木江理子教授は「『何としても日本に戻りたい、戻らざるをえない』と強く望んでいる人が多い。水際対策の重要性は理解できるが、長年、日本で仕事や子育てをしている外国人にとって日本は生きる場所になっていて、政府はしゃくし定規ではなく個別のケースや実態をみて入国を判断するべきだ」と指摘しています。