母の日の花屋さん 息子がくれたアジサイは今も

母の日の花屋さん 息子がくれたアジサイは今も
10日は母の日。東京都内にある小さな花屋は、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込み、先月は店舗の家賃も足りない状況となりました。それでも、カーネーションやアジサイをそろえて客を待っていて「夏ごろまでこうした状態が続けば店をどうするか考えないといけないが、頑張れるところまで頑張りたい」と話しています。
東京 中野区の商店街にある「花のよしはし」は、8坪に満たない小さな花屋で、脱サラした吉橋正己さん(63)が、別の店での修行を経て39歳でここに念願の店を持ちました。

商店街にあった肉屋や八百屋も次第に店を閉め、花もスーパーやインターネットで買えるようになる中、花の特徴や水やりの方法など、対面での細かいアドバイスや会話を大切にして店を続けてきました。

しかし新型コロナウイルスの影響で、花を届けてきた飲食店や企業の休業、生け花教室の閉鎖などが重なって売り上げが落ち込み、先月は店舗の家賃も足りなくなったということです。

吉橋さんは今のような状態が続けば、夏には店を続けられるかどうか考えなければいけないと思っています。

それでも「母の日」を前にした8日、さまざまな色のカーネーションや、最近母の日に人気のあるピンク色のアジサイなどを抱えて市場から戻り、店に並べていました。
吉橋さんは「以前は、母の日のフラワーアレンジメントも40件くらい注文があり、遠いところにも送っていたけど、ことしは数件だよ。花は食べ物と違って、必ずしも生活に必要でないからかな」と寂しそうに話していました。
店には、近所の独り暮らしの高齢女性が訪れ「新型コロナの影響でさみしくなっている時だからこそ、花は明るくていいと思います」と話し、「昔、母の日に息子がくれたアジサイが今でも家で育っているんです」などと、母の日の花の思い出を語っていました。

吉橋さんは「何気ない日常が続くことを祈ってきたのだけれど、個人商店だし、緊急事態宣言が6月以降も続くような状況だと本当に厳しい。でも真心を持って地域に愛される店でいられるよう、頑張れるところまで頑張りたい」と話していました。