異例の3月期決算 約半数が減益 先行き未定も続出 コロナ影響

異例の3月期決算 約半数が減益 先行き未定も続出 コロナ影響
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大手企業の業績に広がっています。これまでに決算発表を終えた、ことし3月期決算の上場企業のおよそ半数が「減益」となり、7割近くの企業はこの先1年間の業績見通しを立てられない異例の事態に直面しています。
SMBC日興証券が7日までに発表を終えた東証1部上場の231社の決算をまとめたところ、およそ半数の113社で経常利益が1年前より減り「減益」となりました。

経常利益を足し合わせると、前の年度と比べて17%の減少となっています。

ことし1月から3月までの3か月間の経常利益をみると、前の年の同じ期間と比べて62%減少し、落ち込みがひときわ大きくなっています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って売り上げが急激に落ち込んだり、株価の急落で保有資産の価値が目減りしたりして、全体の業績を押し下げたことがうかがえます。

さらに決算では通常、この先1年間の業績見通しも公表されますが、感染拡大がいつ収束するのか分からず判断することが難しいなどとして、全体の7割近い155社が見通しを「未定」としています。

業績見通しを公表した企業でも半数以上が減益を見込み、中小企業だけでなく大手企業も感染拡大の影響に揺さぶられる異例の事態となっています。

在宅勤務増えて集計に遅れ 決算発表延期の企業も

決算発表を延期する企業も相次いでいます。

東京証券取引所に上場する3月期決算の企業では、先月末時点でおよそ16%にあたる400社近くが決算発表の延期を決めています。

大型連休が明けても延期の決定は相次ぎ、8日だけでも新たに上場企業46社が延期を公表しました。

世界的な外出制限で海外の子会社の会計担当者が出社できず、国内でも在宅勤務が増えて決算の集計が遅れているのが主な理由で、中には発表時期を未定としている企業もあります。

SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは、「こうした事態は過去に例がないと思う。緊急事態宣言の延長もあり、企業の経営環境は一段と悪くなっている。ことし3月期決算はもちろん、今年度の第1四半期、4月から6月までの3か月間の決算も多くの企業で厳しい結果になるだろう」と指摘しています。