イタリア 外出制限が一部緩和 経済活動も一部再開 新型コロナ

イタリア 外出制限が一部緩和 経済活動も一部再開 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大がピークを越えたとして、ヨーロッパでは各国が外出や経済活動の制限を相次いで緩和させています。死者がアメリカに次いで最も多いイタリアでも4日、ほぼ2か月ぶりに制限が一部緩和され、製造業や建設業などの再開が認められました。
イタリアでは北部を中心にことし2月下旬から新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、感染者の数は21万人を超え、死者は2万9079人とアメリカに次いで多くなっています。

イタリア政府は先進国の中ではいち早く、3月10日に全土での外出制限に踏み切りましたが、感染者が増えるペースが緩やかになってきたとして、4日、制限を一部緩和し、運動のためや家族に会うための外出を認めました。

立ち入りが禁止されていた首都ローマの公園では子ども連れやジョギングをする人の姿がありました。レストランやカフェでは店内の飲食は認められていませんが、持ち帰りのサービスは利用できるようになり、多くの人が早速訪れていました。

経済活動も一部再開し、建設業や製造業などの稼働が認められて400万人以上が仕事に復帰したとみられています。

一方、公共交通機関では車内で乗客どうしの間隔を1m以上あけるため座席に印が貼られ、乗客にマスクを着用するよう求めています。

職場に向かうという女性は「予防策が必要なので少し怖いです。仕事がないと何もできないので状況がよくなってほしい」と話していました。

イタリア政府は段階的に制限を緩和する方針で、18日からはほとんどの商店の営業を認める予定ですが、感染が再び拡大しないよう市民に予防策を徹底するよう呼びかけています。

イタリア保健相「第2波来ても準備できている」

イタリア全土で行っていた外出制限をほぼ2か月ぶりに一部緩和したことについて、シレーリ副保健相は4日、NHKの取材に応じ、「全土を封鎖し、すべての活動を止めたことで、多くの命を救った」と述べて、一連の措置に効果があったと強調しました。

また、この2か月で集中治療室のベッド数を2倍近くの9000床以上に増やすなど、国内の医療体制を大幅に強化できたとし、「感染の第2波が来ても準備はできている」と述べ、制限の緩和後、仮に感染が再び広がっても対応できるという考えを示しました。

その上で「最も重要なのは陽性患者とその濃厚接触者を見つけることで、それが感染の抑制につながる」と述べて、今後もウイルス検査を積極的に行う方針を明らかにしました。

イタリアでは当初、1日に行う検査数は数千人でしたが、現在は5万人前後行っていて、これまでに検査を行ったのは220万人近くになっています。

マスクの供給 十分でないとの声も

外出制限が一部緩められたことで、イタリア各地では4日、多くの人が出歩く姿が見られました。

首都ローマにある、飲み物や軽食を提供するバールと呼ばれる店では、持ち帰りサービスを始め、マスク姿の客が次々と訪れていました。そしてイタリア人の暮らしに欠かせないとされるエスプレッソなどを買い求めていました。

女性客の1人は「外出制限が始まって2か月もたつので、持ち帰りができ、よかったです。ずっと飲みたかったです」と話していました。

今回の制限緩和に合わせてイタリア政府は、公共交通機関を利用する乗客にはマスクの着用を求めています。

このためマスクの価格を1枚、日本円で60円に抑える方針を示しましたが、供給が十分ではないという指摘もあがっています。

価格の高い医療用のマスクしか置いていないという薬局の店員は「市民に購入してもらいたいと思っていますが、価格の安いマスクを手に入れることができません」と話していました。

スペイン 小規模店で営業再開 全体の15%

感染者がヨーロッパで最も多いスペインでも4日から、広さ400平方メートル未満の小規模な店舗で営業の再開が認められました。

首都マドリードではまだ多くの店が閉まっているものの、生花店や書店などがおよそ7週間ぶりに営業を始め、理髪店では従業員がマスクをして客の散髪を行っていました。

ただ、いずれの店も客は訪れる時間を予約する必要があるなど営業再開の条件は厳しく、スペインの商工団体によりますと、4日に営業を再開した店舗は全体の15%ほどにとどまるということです。

スペイン政府は、外出や店舗の営業の制限について今後2か月かけて段階的に緩和していく方針です。

スペインでは、ことしのGDP=国内総生産は去年と比べて9.2%の減少となる見通しで、経済に大きな影響が出ていますが、政府は感染が再び拡大しないよう慎重に制限の緩和を進めるとしています。