宣言延長「先見えず 気持ち折れた」老舗洋食店 閉店へ 東京

宣言延長「先見えず 気持ち折れた」老舗洋食店 閉店へ 東京
緊急事態宣言の延長決定を受けて、東京都内で40年以上続いてきた老舗の洋食店が閉店することになりました。店の経営者は「休業で先が見えない中、店を続けていく気持ちが折れてしまった」と苦渋の胸の内を明かしました。
東京 調布市で老舗の洋食店を経営している豊嶋正さん(69)は3月下旬から店の休業を続けています。
この店は、コンサートホールが入る市の文化会館の中にあります。開業は45年余り前の1974年。店が今の場所に移ってからは、その日のクラシックコンサートの曲目に合わせた、作曲家ゆかりの料理が人気を集めてきたと言います。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてコンサートや映画会などの催しが次々と中止になり、来月までの宴会などの予約450人分がすべてキャンセルになりました。3月から今月までの月60万円の家賃や光熱費は市から減免措置を受けられる見通しですが、数百万円前後あった毎月の売り上げがゼロとなり、従業員2人への給与の支払いが厳しくなっています。

政府が緊急事態宣言を延長する方針で調整を進めていた今月1日。豊嶋さんは店の帳簿を見つめながら「ことしは2月後半から予約がすべて無くなり、経営に響いている。東京オリンピック・パラリンピックにも期待していたのに、まさかこんなことになるとは思わなかった」と話していました。

そのうえで「食材も全部だめになり、仕込みもすべてストップしているため、来月や再来月に再オープンさせるとなると、準備に2~3週間はかかり、経営を続けていくには少し元気がなくなってきている」と話していました。

ただ、この日およそ3週間ぶりに店のちゅう房に立った豊嶋さん。一緒に働いてきた息子や従業員に対し、得意料理の「真鯛のポワレ」をふるまいました。
フランスや銀座の有名洋食店で磨いた熟練の技を、このちゅう房で改めて若い世代に伝えたいと考えたからだと言います。
そして4日夕方、豊嶋さんは店で、緊急事態宣言の延長を決めた安倍総理大臣の記者会見の様子をじっと見つめていました。
そして「50年近く、毎日、調理場で料理を作っていたが、ここ2か月半ぐらいは料理を作らない生活が続いていて、モチベーションが全然上がらず、心が折れてしまっている。店を閉めようと思っている。コロナでなぜこんなに苦労しなければいけないのかという悔しさとつらさがある」と話していました。