外出自粛で家庭ごみ増 マスクが袋の外に 懸念の声 新型コロナ

外出自粛で家庭ごみ増 マスクが袋の外に 懸念の声 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で、東京23区では、オフィスや飲食店などからのごみの量が30%余り減少した一方、家庭から出るごみは10%増えています。中には使用済みのマスクなどが袋から出てしまっているケースもあり、収集にあたる作業員からは感染を懸念する声が上がっています。
「東京二十三区清掃一部事務組合」によりますと、先月6日から12日にかけて東京23区の家庭から出た可燃ごみの量は3万5200トン余りと、去年の同じ時期と比べ10%増加しています。一方、オフィスや飲食店など事業者から出た可燃ごみは1万2100トン余りで去年より34%減少し、休業や営業時間の短縮の影響が表れたものとみられます。

新型ウイルスの感染拡大に伴い使用済みのマスクやティッシュペーパーが目立つほか、なかには袋の口がきちんと縛られず外へ出てしまっているものもあり、作業員からは感染を懸念する声が上がっています。

作業員に感染が広がると、ごみの収集に影響が出るおそれもあるとして、環境省や自治体は適切に処理するよう呼びかけています。

葛飾区清掃事務所の五十嵐徹所長は「袋を二重にして、ごみを満杯にせずゆとりを持たせたうえで、口をきつく縛って出してほしい」と話しています。

作業員「われわれが感染すると収集に支障」

家庭ごみの増加に伴って、収集の現場では感染のリスクからどのように作業員を守るのか、頭を悩ませています。

東京・葛飾区では、先月1日から25日の間に家庭から出たごみの量が去年の同じ時期と比べ10%増え、弁当の容器や宅配ピザの紙箱が目立つほか、在宅の間に片づけた衣類や家具なども増えているということです。

緊急事態宣言が出る前と比べ収集作業にかかる時間が増えたほか、負担になっているのが使用済みのマスクやティッシュペーパーの処理です。なかには、袋の口がしっかり縛られず、収集の際にマスクやティッシュが袋の外に散らばってしまったり、ごみを詰めこみ過ぎた袋が収集車に入れた時に破裂して中身が吹き飛んでしまったりして、作業員の男性が地面に落ちたティッシュを手袋をして拾っていました。

マスクの着用のほか、消毒スプレーを携帯して感染予防に努めていますが、作業員の男性は「感染にはずいぶん注意していますが、どうしても避けられないので怖いです。われわれが感染してしまうと、ごみの収集運搬に支障をきたしてしまうので、適切にごみを捨ててほしい」と話しています。

葛飾区は作業員の感染防止のため、使用済みのマスクなどの処理を適切に行うよう区民に呼びかけるとともに、大型連休中にさらに家庭ごみが増えるとみて、職員を増員して対応しています。葛飾区清掃事務所の五十嵐徹所長は「収集にあたる職員の安全に大変頭を悩ませています。在宅療養の人がどこに住んでいるか分かりませんし、症状のない人もいるので、十分な対策が必要と考えました。適切なごみの処理が感染のリスクを減らすことを知ってほしいです」と話しています。

職員ら感染で事業所一部閉鎖も

緊急事態宣言が出される中でもごみの収集は続けられていますが、神戸市では、5月1日現在、須磨事業所の職員ら合わせて17人が新型コロナウイルスに感染したため、事業所の一部を閉鎖し、別の事業所から応援職員を派遣するなどして対応にあたっています。

自治体では集団感染する事態に備えた対策が始まっていて、東京・世田谷区では、担当以外の部署から職員を募り、ごみの収集作業にあたってもらうことにしています。

また足立区は、一部の作業を委託している民間業者に増員を依頼することにしていますが、それでも間に合わない場合は、ほかの部署に応援に入ってもらうということです。

「袋はしっかり縛って」

新型コロナウイルスの感染を防ぐために、使用済みのマスクやティッシュペーパーをどうやって処理すればいいのか。

環境省はホームページで「ごみに直接触れない」「袋はしっかり縛って封をする」「ごみを捨てたあとは手を洗う」よう、イラストを交えて呼びかけています。

具体的には、ごみ箱は袋をかぶせて使い、マスクやティッシュペーパーが外に出ないよう、しっかり縛ってほしいとしています。収集の際に袋が破裂しないよう、中身がいっぱいになる前に縛ることも求めていて、もし袋が破れたりマスクなどが外側に触れたりした場合は、ごみ袋を二重にしてほしいとしています。

また、ごみを捨てたあとは、せっけんを使って流水でよく手を洗うよう呼びかけています。

都内の自治体の中には、より具体的に注意を呼びかけているところもあり、葛飾区は感染したり疑いがあったりして自宅療養している場合は、すぐにごみを捨てず、ウイルスが感染力を失うまで1週間程度は自宅に保管するほか、保管したペットボトルやプラスチック製の容器などは「資源ごみ」ではなく「燃やすごみ」として捨ててほしいとしています。

また世田谷区は、しっかり空気を抜いてからごみ袋を縛るほか、一度に大量に出さず何度かに分けて出すよう、区のホームページで呼びかけています。

ツイッター上「生活ゴミ増えた」「処分場所で感染者出たら困る」

外出の自粛が長引くなか、ネットでは、家庭でのごみが増えたという声や、使用済みマスクなどの適切な処理の呼びかけを求める投稿が相次いでいます。

ツイッター上では、「外食がかなり減り、ほとんど自宅で食べることが増えて、生活ゴミが増えた」とか「朝のゴミステーションが年末並みの混雑!!ゴミ収集の方、多くてゴメンなさい」などといったコメントが寄せられています。

また、「けさゴミ捨てに出たらそこに、脱ぎっぱなしのマスクがそのまま捨ててあったので目を疑った」とか「ゴミは収集日の朝に出してほしい。カラスがビニール袋つついて、使用済みマスクとかティッシュが散乱して飛んでくる」などと、ゴミ捨てのルールについての投稿も多くみられます。

さらに、「ゴミ袋を二重にする ティッシュ、マスクは分けて分別する こういう小さな心遣いでも力になれるだろうか」や「ペットボトルもきちんと洗浄して出すようにしたい。直接口つけて飲んでる。ゴミの処分場所で感染者出たら困るよ」など、作業員の感染対策を呼びかける投稿も相次いでいます。